2018 Fiscal Year Research-status Report
鳥類精子における膜ラフトマイクロドメインを介した先体反応制御機構の解明
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17KK0150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 敦之 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10630981)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 精子 / 先体反応 / 膜脂質 / プロテオミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類精子において膜ラフトの機能性解析を通じて先体反応機構分子基盤の解明に取り組み、以下の知見を得ている。 1. 鳥類精子膜ラフトに存在し、内卵膜との結合を仲介すると思われる新規60KDaタンパク質の分離に成功し、プロテオーム解析に供した結果、いくつかの候補と共に同定に成功した。現在、特異的抗体の作成を進めている。 2. ニワトリ精子の先体部分から特異的に分離精製したタンパク質分子群の網羅的同定を行い、哺乳類精子の先体タンパク質群との共通性と特異性が示された。現在特異的抗体を作製中である。 3. 先体反応能力と鞭毛運動性の関係性を調べるため、先体反応をAMPK経路で促進するグルコースの鞭毛運動プロファイルに及ぼす影響を調べた。その結果、少なくとも鞭毛の振幅頻度に影響を及ぼさないことが分かった。データの一部はBiology of Reproductionにアクセプトされた。 4.内卵黄膜への精子の結合がカルシウム動態に及ぼす影響を調べた。その結果、精子細胞内カルシウムは結合後直ちに著しく増加すること、また複数のチャンネルが関わっている可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
網羅的定量的プロテオミクスを用いて先体反応機構に関わる分子群のスクリーニングが終わり、膜ラフトを起点とする先体反応関連分子は数種に絞り込まれた。今後、特異的抗体の作成が終われば、分子基盤の同定が加速することが期待出来る。
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Strategy for Future Research Activity |
コーネル大学において: 1.卵膜結合性60KDaタンパクのレセプターの同定と結合メカニズムの解明をプロテオミクスと組換えタンパク作成を通じて進める。 2. 高解像共焦点レーザー顕微鏡を使い、1細胞レベルで内卵黄膜によるカルシウム動態特性を視覚化する。 筑波大学において: 1. 抗体を使った先体反応関連分子の局在発現特性を調べる。また、組換えタンパクで免役した家禽で受精試験を行う。 2. 鞭毛運動の制御に関わる代謝メカニズムの解明とその先体反応における役割を精子運動解析システムで調べる。
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