2020 Fiscal Year Research-status Report
鳥類精子における膜ラフトマイクロドメインを介した先体反応制御機構の解明
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17KK0150
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
浅野 敦之 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10630981)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 精子 / シグナル伝達 / 先体反応 / 細胞膜 / 鳥類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鳥類精子における先体反応の細胞膜制御機構をシグナル伝達の点から究明を進め、以下の知見を得た。 ・cAMP依存的経路の家禽精子における役割を調べた。その結果、膜ラフトはアデニル酸シクラーゼを介してプロテインキナーゼA (PKA) 活性を亢進することで、卵黄膜結合が誘起する先体反応機能の維持に関わっていることが分かった。 ・次に膜ラフトに局在するグルコース輸送体GLUT3に注目し、グルコースの精子における機能的役割とそのメカニズムを調べた。その結果、GLUT3は精子先体と鞭毛部に局在し、その機能制御に膜ラフトが関与することが示された。また、膜ラフトが制御するグルコースの取込は、AMP活性化タンパクキナーゼを活性化することで卵黄膜への侵入を促進することが明らかになり、先体反応を起こす精子数の増大化に関与していることが示された。 ・細胞膜制御による先体反応機構の理解を進めるため、膜関連チロシンリン酸化酵素、Src family kinases (SFK)の機能特性を調べた。その結果、SFKは膜電位とPKA活性の制御を介し、受精能早期喪失の一因とされる自発的先体反応の抑制に関与する可能性が明らかになった。さらにSFKの活性制御には、カルシウム依存性チロシンフォスファターゼや膜ラフトが関与することも示した。 ・次に鳥類精子でGLUT1の局在および機能的役割を調べた。その結果、GLUT1は鞭毛の中片部のみに存在し、解糖系および酸化的リン酸化経路を介してATP産生と運動性維持に関与していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症により、研究活動の自粛期間があった事に加え、2020年に予定していたコーネル大学での在外研究を実施できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症がコントロール出来るレベルになれば、さらにコーネル大学獣医学部を訪問し、カルシウム動態の1細胞ライブセルイメージングおよびリン酸化プロテオミクス実験を実施し、細胞膜変化と先体反応を繋ぐシグナル伝達経路の全容解明を進める。次の渡航は半年間を予定している。
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