2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17KK0151
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 豪司 東京海洋大学, 学術研究院, 助教 (50624219)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 魚類免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度にドイツ・Friedrich-Loeffler-Institut(FLI)へ3か月間渡航し、GAS細胞と白血球細胞の共培養試験を行った。その結果として、GAS細胞とリンパ球様細胞が集合するロゼット形成を観察することができた。しかし、GAS細胞の特殊染色や、GAS細胞と白血球細胞の共培養試験後の遺伝子発現解析については、実験条件の再検討が必要であった、そこで、2019年度は、東京海洋大学において、GAS細胞の特殊染色にかかる実験条件の検討を行い、決定した条件で再実験を行うため、ドイツに再度渡航した。その結果、GAS細胞はエステラーゼ染色陰性、PAS染色陰性、ミエロペルオキシダーゼ染色陰性、ALP染色陰性であったが、ACP染色陽性およびリソソーム染色陽性となった。以上のことから、GAS細胞はリンパ球、単球/マクロファージおよび顆粒球などとは異なる細胞集団であることが改めて示された。一方で、GAS細胞の細胞質内で観察される顆粒はリソソームであることが示され、GAS細胞が取り込んだ異物を消化する能力があることが確認できた。また、今回の渡航ではGAS細胞と白血球の共培養試験を再度行い、帰国後、採取したサンプルを用いてGATA3およびIL-2の遺伝子発現解析を行った。しかし、抗原刺激を行った試験区でもこれら遺伝子の発現上昇は確認されなかった。今後、GAS細胞の抗原提示能については、異なった視点から実験を設定する必要が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GAS細胞の特殊染色を行い、当該細胞がこれまでの実験結果と矛盾しない特徴を有することが確認できた。電子顕微鏡および光学顕微鏡によるGAS細胞の形態学的特徴は予定通り、明らかにすることができたので、概ね順調に進展していると評価できる。一方で、当初計画したGAS細胞と白血球細胞の共培養実験は、操作が煩雑であることなどから、十分に信頼できるデータを取得できていない。今後は、新たな実験系を考案し、GAS細胞の抗原提示能について評価していきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
GAS細胞をフローサイトメトリーで分取する方法では、分取時の衝撃などからGAS細胞自体の生存率が低くなってしまうことがわかった。また、In vitroでの共培養実験は、GAS細胞の分取および白血球細胞の分取それぞれの操作を同時並行で自思惟しなければならず、操作が非常に煩雑であった。そこで、GAS細胞とリンパ球様細胞の相互作用を生体内で観察するなどし、GAS細胞の抗原提示能に関する状況証拠を集めていく方針にしたいと考えている。一方で、コロナウイルス感染症がスペインでは大流行しており、2020年6月の時点では今年度中に渡航できるかどうかは不透明なままである。渡航時期については、スペインCISA-INIAの受入研究者と密に連絡し合い、再検討する必要がある。
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Research Products
(3 results)