2022 Fiscal Year Annual Research Report
Antigen degradation and presentation by gill-epithelial antigen sampling cells
Project/Area Number |
17KK0151
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 豪司 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50624219)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 魚類免疫学 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニジマスの鰓上皮に存在する鰓上皮抗原取込細胞(Gill-epithelial Antigen Sampling cells: GAS細胞)は、浸漬投与された不活化細菌などの抗原を盛んに取り込むことから、魚類の浸漬ワクチン作用機序のカギとなる細胞だと考えられる。これまでに、GAS細胞がファゴソーム、リソソームおよびMHCクラスIIによる抗原提示プロセスに関与するほぼすべての遺伝子を発現することが分かっている。また、ニジマス抗MHCクラスII抗体を用いた一連の実験では、GAS細胞の一部がMHCクラスIIを細胞表面に発現すること、また、MHCクラスIIを発現する細胞数は浸漬ワクチン投与後に増加することが分かっている。そこで、本研究ではGAS細胞の抗原分解能および抗原提示能について検討した。 GAS細胞は酸性フォスファターゼ染色に陽性で、リソソーム染色でも陽性となった。また、電子顕微鏡解析では、ファゴソームやリソソームと思われる細胞内小器官が多数観察された。浸漬ワクチン投与1分後では投与した細菌抗原は粒子状の構造を維持したまま検出されるが、抗原投与3時間後には蛍光シグナルは細胞質内に散在した状態で観察された。浸漬ワクチン投与3時間後におけるGAS細胞の遺伝子発現変動を解析したところ、抗原の分解に関わるHSP70およびHSP90遺伝子や、T細胞供刺激分子であるCD80遺伝子の有意な発現上昇が観察された。浸漬ワクチンを取り込んだGAS細胞とリンパ球を共培養すると、培養24時間後においてGATA3遺伝子の発現上昇が観察され、GAS細胞をリンパ球が取り囲むロゼット形成が観察された。 以上のことから、GAS細胞は取り込んだ最近抗原を3時間以内に分解することができ、その後T細胞へ抗原提示を行うことができると考えられる。
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