2021 Fiscal Year Research-status Report
Electrophysiological analysis that accelerates the isolation of key genes governing ion homeostasis of rice under salinity stress
Project/Area Number |
17KK0152
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
堀江 智明 信州大学, 学術研究院繊維学系, 教授 (90591181)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 耐塩性 / 電気生理解析 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は、令和3年度に終了した基盤研究(C)一般の研究内容と関連している。基盤(C)の研究において、栽培イネ日本晴(Oryza sativa)のゲノムに野生イネ(Oryza rufipogon W630)由来のゲノムの小断片が導入された戻し交雑自殖系統群(BRILs)を利用しイネの耐塩性機構に関する研究を実施した。塩ストレスを施したBRIL系統を水耕栽培し、若い葉身へのNa, K, Ca, Mgの蓄積を支配する遺伝子座の探索を行った。その結果、各元素の蓄積に対して1つないし2つの量的形質遺伝子座(QTL)を発見した。その中でも、特にNaに関しては、1番および5番染色体に存在すると予想される、Na-QTL1およびNa-QTL5の2つを発見した。 本課題の目標の一つは、共同研究先のタスマニア大学が有する、微小イオン選択性電極を用いたMIFEと呼ばれる電気生理解析技術を取り入れ、イネの品種間のイオン輸送特性の違いを迅速に評価し、これら発見したQTLsの責任遺伝子を、より迅速に効率よく同定するための系の構築を模索することである。Na-QTL1に関しては、日本晴との戻し交雑後代集団の作製を進め、MIFE解析準備が進んでいる。Na-QTL5および他の元素に関するQTLに関しても、順次材料の準備を進める予定である。しかし、2019年にMIFEの技術習得に出て以降、新型コロナの流行により再度のタスマニアの訪問が阻まれており、進捗は遅延している。 上記のアイデアだけに留まらず、より広くMIFEの技術を自身の研究に取り入れるために、イネの耐塩性遺伝子の候補の一つに変異を有するイネ株のMIFE解析を、先方の研究室に依存する形で進めている。当研究室側でも、同変異株の塩ストレス下の生理学的な特性やイオン蓄積様式の解析を並行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの蔓延により、自身の渡航が数年妨げされているため、解析を進めることが困難であったため。また、重要な実験材料(耐塩性に関連し得るQTLを内包したBRIL系統)の確保までに、想定よりも時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
多くの植物試料をMIFE解析に用いる必要があることも考慮すると、単にそれらの解析の全てを先方に依存することは非現実的であり、当初予定していた解析を完結することは、残された時間と現状を考慮すると難しい。しかし、共同研究先とも相談し、先方の研究力にも依存して可能な限りのMIFE解析を実施する。また、短期間でも自身で再度訪問してMIFE解析の技術習得と解析を進捗させることを試みる。本プロジェクト終了後にも、自身の研究室にMIFE解析システムを導入する希望を持っているいるため、その実現に向けて努力する。また、先方と引き続き国際共同研究体制の維持にも努め、包括的に、本プロジェクト期間が終了する後になってしまっても研究目標達成ができるように試みる。
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