2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on strategies of cluster root forming plants to cope poor nutrient conditions
Project/Area Number |
17KK0156
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
和崎 淳 広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (00374728)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 根圏 / 分泌 / クラスター根 / リン / 有機酸 / ホスファターゼ / ヤマモガシ科 / カヤツリグサ科 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、特に西オーストラリアの極めて貧栄養な土壌に多く分布する植物を、わが国に分布する同じ科の植物と比較解析を行い、これらの植物の低リン耐性への寄与と土壌環境へ及ぼす影響を調査することが主要な課題である。 これまでに、西オーストラリアおよび日本に自生するヤマモガシ科植物、カヤツリグサ科植物、マメ科植物などを継続的に採取し、これらの成熟葉を対象に多元素一斉分析を行った。その結果、元素組成は季節変動や年変動の影響をあまり受けない一方、地形の影響を受けることが示唆された。また、同じ科の植物であれば傾向は類似するが、Acacia属は種により異なる傾向が強いことが示された。ヤマモガシ科のリン、窒素、カリウム濃度が低い特徴が示された一方、リンとカリウムは食虫植物で高い濃度を示した。いくつかの元素については高集積する科があることが示された。アルミニウムはヤマモガシなど日本在来植物において集積するものがある一方、西オーストラリアの植物では高い濃度を含有するものはなかった。根圏土壌の群集構造解析を行った結果、全てのヤマモガシ科植物で菌根菌の存在は認められず、菌根菌に依存せずにリンを吸収していることが示唆された。また、これまでにシロバナルーピンのクラスター根で特異的に多くなることが示唆されているBurkholderia属細菌がヤマモガシ科植物においても多くなることが示唆された。 期間全体を通して新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて渡航できない状況が継続したが、2022年10月に一度渡航して研究調査を行うことができた。渡航時にはこれまでに採取した植物の元素分析データを中心に議論を進め、共著の投稿論文を作成中である。また、貧栄養土壌に生育する植物においては新葉が緑になるのが遅れる現象が見られることに着目し、植物体の採取を行った。今後のさらなる共同研究のため、元素分析等を進めている。
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Research Products
(10 results)