2019 Fiscal Year Research-status Report
幼若期ストレスによって変容する薬物依存性と共感性行動の脳内分子メカニズム解析
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17KK0161
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 隆行 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (60374229)
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Project Period (FY) |
2017 – 2020
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Keywords | 観察恐怖学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
共感様行動の1つと解釈できる観察恐怖学習に関わる分子・神経回路・行動機能について引き続き以下の解析を行った。 1)腹側海馬(vHPC)より入力を受ける内側前頭前皮質背側部(dmPFC)ニューロンの特徴と同ニューロンの出力部位の解析 2)dmPFC内パルブアルブミン作働性ニューロンの活動を光刺激によって抑制することによる観察恐怖学習の変化 3)オキシトシン作働性ニューロンおよびその投射部位とオキシトシン受容体発現ニューロンの分布解析 4)オキシトシン作働性神経終末の光刺激抑制による観察学習行動の変化 5) 観察恐怖によって活性化するニューロンの脳内分布の網羅的解析 6)中脳水道周囲部灰白質(PAG)に投射するdmPFCニューロンの側枝分布の解析 成果について以下列挙する。1)について:vHPCより入力を受けるdmPFCニューロンは、カルシウムカルモジュリンキナーゼII陽性細胞>パルブアルブミン陽性細胞>ソマトスタチン陽性細胞の順で分布が多く、dmPFCからの神経投射は扁桃体基底部(BA)、PAG、前障(CLA)、無顆粒島皮質(AI)に多かった。一方、dmPFCに出力するニューロンはBA、CLA、AIおよびvHPCに多かったことから、BA、CLAおよびAIはdmPFCと双方向性に連絡しているもののvHPCはdmPFCに一方向性に投射していると考えられる。 3)について:オキシトシン作働性ニューロンの出力はdmPFC、 扁桃体ならびにvHPCで乏しく、腹側被蓋野およびPAGで顕著であった。4)について:オキシトシン作働性神経終末にハロロドプシンを発現させたマウスのdmPFCに光プローブを埋め込み、観察恐怖中のすくみ行動の変化を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要の5) 観察恐怖によって活性化するニューロンの脳内分布の網羅的解析 6)中脳水道周囲部灰白質(PAG)に投射するdmPFCニューロンの側枝分布の解析については、当初の計画にはなく、研究で得た結果とHolmes博士との議論によって新たに追究できたため
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、Holmes博士と共同研究について綿密に連携する。Holmes研究室から新たな実験サンプルを受け取り、形態学的解析を行うとともに、実験パラダイムの導入を行う。
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