2021 Fiscal Year Research-status Report
幼若期ストレスによって変容する薬物依存性と共感性行動の脳内分子メカニズム解析
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17KK0161
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
吉田 隆行 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (60374229)
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Project Period (FY) |
2017 – 2022
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Keywords | 共感性 / 内側前頭前皮質 / パルブアルブミン / セロトニン |
Outline of Annual Research Achievements |
共感様行動である観察恐怖学習に関わる分子・神経回路・行動機能について、昨年度までの研究から内側前頭前皮質背側部(dmPFC)からの神経投射は扁桃体基底部(BA)、中脳水道周囲灰白質(PAG)、前障(CLA)、無顆粒島皮質(AI)に多く、dmPFCに出力するニューロンはBA、CLA、AIおよび腹側海馬(vHPC)に多かったことから、BA、CLAおよびAIはdmPFCと双方向性に連絡しているものの、vHPCはdmPFCに一方向性に投射していると考えられた。これを踏まえ、今年度はBAからdmPFCに投射する神経線維はdmPFCのどのようなニューロンとシナプス形成するのかを検討した。パルブアルブミン(Pvalb)Creマウスを用い、BAにアデノ随伴ウイルスベクターであるAAV1-Flpを、dmPFCにAAV-CreON/FlpON-YFPを注入した。AAV1-Flpは投射先のニューロンにシナプスを介してFlippaseを発現させる。その結果、BAから投射を受けていることを裏付けるPvalbニューロンをdmPFCに確認した。BAからのシグナルはdmPFC内において抑制性に機能すると考えられた。このデータは、現在論文作成中であるdmPFC内Pvalbニュー ロンの活動を光刺激によって抑制することによる観察恐怖学習の変化についての有力な証拠となり得る。また、このシグナルの修飾機構としてセロトニン作動性神経性の役割について今後検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概要に示した通り、論文を作成する上での非常に有力なデータを得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
Holmes博士と共同研究について綿密に連携する。Holmes研究室から新たな実験用サンプルを受け取り、セロトニン作動性神経系に着目した共感性行動学的解析を行うとともに、電気生理学的実験の導入を行う。
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