2021 Fiscal Year Research-status Report
Design of inorganic-organic materials for drug delivery of molecular targeted therapeutics
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17KK0178
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
高橋 知里 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 主任研究員 (50574448)
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Project Period (FY) |
2018 – 2022
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Keywords | 電子顕微鏡 / 液中観察 / 有機無機複合粒子 / ナノ材料 / ドラッグデリバリー / XAFS / 菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、基課題である「高分子ナノ粒子キャリアの病原体との相互作用の可視化のための電子顕微鏡評価法の開発」研究を発展させ、①バイオフィルム感染症治療のための有機無機複合製剤の設計をするとともに、②作製した製剤の最適化のため最先端の電子顕微鏡群及び放射光を用いた評価系の確立を進めるものである。 2018年度は国内で有機無機複合製剤の設計法を確立し、調製した製剤の抗菌活性評価や形態観察、化学結合状態、構造評価を行った。2019年度は、受け入れ先であるフランスのパリディドロ大学にて、液中観察ホルダーを用いて有機無機複合製剤への電子線ダメージが少ない観察条件を導くことに成功している。2020-2021年度は、コロナウィルスの事態のために海外渡航ができず、予定をしていた国際共同研究が実施できなかったため、新規観察法の確立が難しかった。一方で、ターゲットであるバイオフィルム形成菌の液中における形態およびバイオフィルム形成機構を明らかにした。また、放射光を用いたXAFS分光分析による新規製剤の化学結合状態を明らかにした。2022年度に渡航を行い、電子線ダメージに弱い有機無機複合製剤の新規観察法の確立およびターゲットに対する有機無機複合製剤の動的挙動・製剤効果を明らかにすべくパリディドロ大学にて実験を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度に渡航先のパリディドロ大学にて得られた条件(電子線に弱い高分子材料の電子顕微鏡評価に適した溶媒、観察条件など)を元に、渡航先のパリディドロ大学に渡航し再現性実験を行い、評価法の確立を実施する予定であった。しかし、2020-2021年度はコロナウィルスの状況下にあり、海外渡航および海外での研究活動が難しい状況にあったため、液中TEMを用いた観察手法の最適化・確立を進めることができなかった。また、確立した評価法を用いて「様々な液中における有機無機複合製剤の動的挙動の可視化」を行う予定であったが、進めることができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナウィルスの状況により、現在、当初の予定よりも「液中観察ホルダーを用いた有機無機複合製剤の電子顕微鏡評価法の確立」の実験が大幅に遅れているため、2022年度も延長して渡航先のフランス、パリディドロ大学にて実験を継続する予定である。コロナウィルスの状況が少し落ち着いてきたので、現地への渡航が可能になり次第、直ちに渡航し実験を再開する。2019年度に渡航先のパリディドロ大学において見出した実験条件を元に再現性実験を行うことで評価法の確立を進める。また、評価法が確立できた後には、「様々な液中における有機無機複合製剤の動的挙動の可視化」を進め、これまでにない製剤の動的な評価・液中での局所分析を実施する。海外滞在中は、国内の研究協力者に、「新規有機無機複合製剤のバイオフィルムに対する抗菌活性評価および毒性評価」、「新規有機無機複合製剤の物性評価」を依頼する。得られた成果は、随時、論文および学会にて発表する予定である。
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