2018 Fiscal Year Research-status Report
ストレスセンサーKeap1による転写因子Nrf2活性制御機構の解明
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17KK0183
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
鈴木 隆史 東北大学, 医学系研究科, 講師 (70508308)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | Nrf2 / Keap1 |
Outline of Annual Research Achievements |
Nrf2は酸化ストレス・異物代謝に関わる遺伝子群を統一的に制御して、生体防御に働く転写因子である。Nrf2は、非刺激下ではKeap1-Cul3を構成因子とするユビキチンリガーゼ複合体によりユビキチン化され、プロテアソームにより迅速に分解されている。Keap1はセンサー分子として機能し、酸化ストレス刺激を感知するとNrf2のユビキチン化反応を停止する。その結果、安定化したNrf2は核内に蓄積して種々の標的遺伝子の転写を活性化する。Keap1分子は複数のシステイン残基をセンサーとして保持し、それらを使い分けて多様なストレス刺激に対する応答を可能にするが、これらのシステイン残基の使い分けの分子機構の詳細はよくわかっていない。本研究では、ストレス応答におけるNrf2活性化の分子基盤、特にKeap1によるユビキチン化反応の調節機構の解明を目指す。 Nrf2誘導剤の供与およびその化学的性質について助言を頂くため、また、発がん実験とその解析方法について助言をいただき共同研究を実施するため、当該年度は、共同研究者に連絡を取り、渡航スケジュールについてメールにて打ち合わせを行った。詳細な実験計画の打ち合わせを行うため、今年度中に渡航を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度中に打ち合わせを行うため短期渡航を予定していたが、共同研究先の都合とスケジュールを合わせることが難しかったため、実施することができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Dinkova-Kostova教授には、Nrf2誘導剤(TBE-31やイソチオシアネート化合物など)の供与およびその化学的性質について助言を頂き、共同研究を実施する。渡航前に私たちの研究室で各種Keap1変異体を発現する細胞株やNrf2、Keap1、Cul3の精製タンパク質を調整する。国内で調整した細胞株や精製タンパク質をUniversity of Dundeeへ持参し、Dinkova-Kostova教授から供与頂くNrf2誘導剤を添加することで、Nrf2活性に与える影響や三者複合体の構造変化を調べる。必要であれば、帰国後も実験を継続する。特に、Nrf2誘導剤の種類による違いがあるのか否かを明らかにする。その他の遺伝子発現解析などは国内に持ち帰り解析を実施する。実験の詳細について事前打ち合わせや準備を行うための渡航も計画している。 Kensler教授には、発がん実験とその解析方法について助言をいただき、私たちの研究室で作成した活性酸素種センサー欠失Keap1を発現するマウス由来の細胞を用いて発がんによる影響を協力して調べる。渡航前に、私たちの研究室で活性酸素種センサー欠失Keap1発現マウスからMEF細胞を調整する。これをKensler教授の研究室へ持参して、Kensler教授から供与いただく各種の発がん物質(ベンツピレンやアフラトキシンなど)を暴露し、その影響を調べる。具体的には、発がん物質によるDNA障害やDNA修飾体の測定、細胞死などを調べる。また、必要であれば、帰国後も実験を継続する。特に、遺伝子発現解析などは国内に持ち帰り解析を実施する。実験の詳細について事前打ち合わせや準備を行うための渡航も計画している。
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Research Products
(12 results)