2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾クロストークを介した、生殖細胞運命を規定するエピゲノム動態の解明
Project/Area Number |
17KK0185
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
望月 研太郎 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (20633499)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 生殖細胞 / ヒストン修飾 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、我々がこれまでに同定した複数の酵素が調節するヒストン修飾間、ならびにDNAメチル化を含めた他のエピジェネティック修飾やクロマチンリモデリング因子・転写制御因子とのクロストークを明らかにすることを目的とした。さらに、マウス生殖細胞の発生分化に関わる遺伝子の発現制御システムを、サンプル細胞数の制限を克服して、in vitroおよびin vivoで包括的に解明することを目指した。 まず、微量細胞でのChIP-seqを応用して、初期胚や生殖細胞のゲノムにおける化学修飾状態を検出するために、実験解析系を最適化した。その結果、主要なヒストン修飾であるH3K9me3やH3K27me3等について、細胞1000個から、ゲノム全領域における局在の記述が可能となった。次に、この技術基盤を用いて、野生型マウス胎仔の初期胚および生殖細胞の発生段階を追って各修飾状態を検証した結果、特に生殖細胞の発生分化に関わる遺伝子群において、ヒストン修飾間およびヒストン修飾とDNAメチル化との間に時系列的なキネティクスを見出すことに成功した。このことから、生殖細胞の発生分化には、複数のメカニズムによる時空間特異的で段階的な遺伝子発現調節が働いていることが示唆された。さらに、in vitroモデルを用いた各ヒストン修飾の責任酵素・クロマチンリモデリング因子・転写制御因子に対する簡便で効率的な遺伝子ノックアウト解析によって、E-box結合型の転写制御因子がヒストン修飾酵素をリクルートすること、次いで、DNAメチル化酵素群(DNMTs)が呼び込まれることが示唆された。また同時に、RNA-seqによるトランスクリプトーム解析を行い、各ノックアウトにおける遺伝子の発現変動を明らかにした。 現在、これらの成果を学術誌に投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
パンデミックによって、渡航先大学が数ヶ月閉鎖したことやそれに伴う飼育動物の処分、あるいは研究物資の遅延等の影響を多大に被ったため。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroのエピブラスト様細胞/PGC様細胞を用いた効率的なノックアウト解析から、複数種のヒストンメチル化、ヒストンユビキチン化の間において、興味深いクロストークの可能性を確認したため、現在研究の主軸をそちらに移している。今後、転写制御因子のChIPseqおよび全ゲノムDNAメチル化解析を行い、転写制御因子・ヒストン修飾・DNAメチル化間でのキネティクスを明らかにする。
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