2018 Fiscal Year Research-status Report
多発性硬化症の新規治療法開発に向けた革新的血液脳関門イメージング法の確立
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17KK0187
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
枡田 大生 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (10722936)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 血液脳関門 / 多発性硬化症 / 実験的アレルギー性脳脊髄炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
多発性硬化症(MS)では血液脳関門の破綻を通じてT細胞やB細胞が中枢神経系に侵入することで病態を悪化させることが知られている。現在、造影剤を用いたMRI検査を行うことでMS患者の血液脳関門の破綻を臨床的に評価することが可能であるが、コストが高く、頻回に施行することは医療経済の観点から好ましくない。また、リアルタイムで血液脳関門を評価する手法は確立されていない。簡易かつより安価にリアルタイムで血液脳関門を評価する方法を確立することができれば医療経済への恩恵もはかりしれない。そのため、今回、マウスを用いて大脳や脊髄よりもアクセスが容易である網膜において、ミトコンドリアの機能異常を検出することを通じてリアルタイムに血液脳関門を評価する方法を確立することを目的として本研究を計画した。発生学的に、視神経は中枢神経系に属し、血液脳関門は網膜にも存在している。さらに、網膜は視神経と接していること、ミトコンドリアは血液脳関門の透過性において重要な役割を果たしていることから、網膜を通じてミトコンドリア機能を評価することにより間接的に血液脳関門を評価することが可能であると考えた。酸素が保たれている状態では、フラボプロテインからの信号は緑色として検出可能であるが、酸素濃度が低下するにつれて動脈周囲にhaloを形成し、他の部分の信号は消失していく。この性質を利用して過去の研究結果も含めて検討を行い、大脳においては健常ラットでは吸入気の酸素濃度(FiO2) 9%、リポ多糖を静脈注射したラットではFiO2 10%、リポ多糖を眼内注射したラットではFiO2 8%でフラボプロテインの信号が低下するという所見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ミトコンドリア機能と血液脳関門の機能が相関することを示す必要があるが、その前段階として酸素濃度と血液脳関門の破綻が相関することを示すことが先決であると考えた。一般に、酸素濃度が低いとミトコンドリア機能が低下することが知られているためである。そこで、血液脳関門破綻モデルのラットを作成し、様々な濃度の酸素濃度下で一定期間飼育し、その血液脳関門の破綻に差が出ることを示す必要があると考えられたため、その検討から行うこととしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
血液脳関門と類似の構造として血液脊髄関門が挙げられる。我々は先行研究において、Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF)を脊髄前角に投与することで血液脳関門破綻をきたし、神経障害を呈するラットモデルの作成に成功している。そのモデルをさまざまな酸素濃度の条件下で飼育して神経障害の程度と血液脳関門破綻の程度を評価する。この実験を追加することによってミトコンドリア機能と血液脳関門の破綻の程度の相関を評価することが可能である。その後、当初予定していた方法で研究を推進する予定である。
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