2019 Fiscal Year Annual Research Report
Developement of the innovative imaging of the blood brain barrier
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17KK0187
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
枡田 大生 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10722936)
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Project Period (FY) |
2017 – 2019
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Keywords | 血液脳関門 / ミトコンドリア / 多発性硬化症 / 実験的アレルギー性脳脊髄炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに、ミトコンドリア機能と酸素濃度がリアルタイムに相関することを示すことができた。次に、ミトコンドリア機能と血液脳関門の機能が相関することを示すために、その前段階として酸素濃度と血液脳関門の破綻が相関することを示すための追加実験を行った。一般に、酸素濃度が低いとミトコンドリア機能が低下することが知られているため、血液脳関門破綻モデルラットを用いて運動機能と血液脳関門破綻の程度、さらに酸素濃度との相関について検討した。オスのSDラットの脊髄前角にVEGFを注射して血液脳関門破綻モデルラットを作成し、術後酸素濃度80%と21%の環境下で飼育し、12時間おきに神経障害の評価を行った。また、術後24、48、72時間後に灌流固定を行い、血液脳関門破綻の程度を組織学的に評価した。コントロール群にはPBSを注射したラットを用いた。 VEGF群ではPBS群に比し、有意な神経障害を認め(repeated ANOVA、P = 0.024)、かつVEGF群では術後36時間後に神経障害のピークを認めた。一方、組織学的な評価において、VEGF投与群では術後24時間後にIgGの血管外への漏出はピークを迎え、以降はIgGの血管外漏出は減少していくことが確認された。PBS群では明らかなIgGの血管外への漏出は認めなかった。すなわち、VEGF投与群では術後24時間後に血液脳関門の破綻がピークに達し、その後神経障害がピークを迎えることが示された。 一方、高濃度酸素下で飼育したラットは通常の酸素濃度下で飼育したラットに比べて術後48時間後の神経障害が軽症であったものの、血液脳関門の破綻は高濃度酸素群と通常の酸素濃度群で差を認めなかった。すなわち、酸素濃度と血液脳関門破綻との間に明らかな相関を認めなかった。以上より、ミトコンドリア機能を利用して血液脳関門の機能を評価することは困難であると考えられた。
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