2019 Fiscal Year Research-status Report
Generation of antigen-specific T lymphocytes using genome editing technique
Project/Area Number |
17KK0189
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
大内 靖夫 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (70553858)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | ゲノム編集 / T細胞 / がん免疫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、免疫チェックポイント阻害剤やがん抗原特異的TCRまたはキメラ抗原受容体(CAR)遺伝子導入T細胞を用いたがん免疫療法は第四の治療法として注目されている。しかし、これらの治療法は重篤な副作用、がん免疫編集機構による免疫系の疲弊、高額な治療費、ウイルスベクターを用いた遺伝子導入など非常に多くの問題を抱えている。一方、今年度、米国においてPD-1、内在TCR遺伝子を欠損させたゲノム編集T細胞を用いたがん免疫細胞療法の第1相臨床試験が実施され、患者の体内で機能することが明らかとなったことから期待されている。そこで本研究課題ではT細胞に対してCRISPR/Cas9ゲノム編集技術を用いた非ウイルス遺伝子導入技術を開発し、1 STEPで抗原特的T細胞を作成し、各種がん、免疫疾患モデルマウスを用いて、その細胞の有効性を評価することで、免疫細胞療法の基盤技術を構築することを目的とした。令和元年度、研究計画に従い昨年度開発した新しいKnockin手法(CRISPR/Staple法)のより詳細な条件検討を実施し導入効率の改善を試みた。しかし、当初目標としていた10%を超えるKnockin効率を実現することができなかった。一方、現在、臨床試験が進められているゲノム編集T細胞の作成にはCas9 RNPの電気穿孔法を用いた煩雑な細胞調整過程が必要であり、今後、幅広い臨床応用を行うには簡便な細胞調整技術が必要である。しかし、従来の遺伝子導入試薬では初代T細胞に遺伝子を導入することは不可能である。そこで今年度、海外共同研究先とともにT細胞を標的としたゲノム編集ナノ粒子の開発を進めてきた。その結果、初代ヒトT細胞において簡便かつ高効率で遺伝子導入できるナノ粒子を開発した。また本ナノ粒子にゲノム編集ツールを導入することで簡便にPD-1、TCR欠損ヒトCD8(+)T細胞を作成することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度、海外共同研究先との共同研究により、初代培養マウス・ヒトT細胞に高効率で遺伝子導入できるナノ粒子の開発に成功した。また本ナノ粒子にゲノム編集ツールを導入することにより、簡便にPD-1、TCR欠損ヒトCD8(+)T細胞を作成することに成功している。本技術は現在、臨床試験が進められているゲノム編集T細胞を用いたがん免疫細胞療法の汎用化を実現する上で重要な研究成果であると考えている。一方、遺伝子Knockin技術開発に関しては、当初目標としてきたKnockin効率を実現することができなかったが、現在、本ナノ粒子をKnockin技術に応用することでKnockin効率の改善を図ることを検討している。以上のことから、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、海外共同研究先との共同研究により開発したT細胞を標的としたゲノム編集ナノ粒子を用いたゲノム編集技術のより詳細な条件検討を進め、高効率、細胞毒性の低い条件でゲノム編集ヒトT細胞を作成できるプロトコルを確立する。一方、本ナノ粒子をKnockin技術に応用することでKnockin効率の改善を図ると同時に1 STEPで抗原特的ゲノム編集T細胞を作成する技術の開発を進める。さらに得られたゲノム編集T細胞の有効性を各種がんモデルマウスを用いて評価することで、免疫細胞療法の基盤技術を構築を目指す。
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Research Products
(1 results)