2023 Fiscal Year Annual Research Report
Function Mapping of the Olfactory Tubercle-Ventral Pallidum Pathway in Positive and Negative Emotions
Project/Area Number |
17KK0190
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
村田 航志 福井大学, 学術研究院医学系部門, 助教 (10631913)
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Project Period (FY) |
2018 – 2023
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Keywords | 神経科学 / 嗅結節 / 腹側淡蒼球 / 脳内報酬系 |
Outline of Annual Research Achievements |
食べ物の香りや風味はおいしさをつくるが、腐敗物の臭いは不快感をつくる。また、納豆のような発酵食品の匂いは、食経験の有無によって好き嫌いがわかれる。嗅覚によって形成される快不快情動は動物に適応的な行動を促し、また過去の経験は匂いへの情動形成に適応的に影響する。嗅結節は嗅覚入力を受ける腹側線条体領域であり、主要な軸索投射先は腹側淡蒼球である。本研究課題では、嗅結節および腹側淡蒼球の神経回路構造と快不快情動の形成への関与を明らかにする。 Covid-19の影響でミシガン大学アナーバー校Berridge研究室への渡航が数年にわたって中断されていたが、2023年度にようやく渡航が可能になった。Berridge研究室では実験動物の快・不快情動を味覚反応試験(taste reactivity test)で評価している。味覚反応試験ではラットの口腔内にカニューレを留置し、味刺激(砂糖水の甘味やキニーネ水の苦味)を提示した際の表情を含む身体反応を測定し、「快」ならびに「不快」を評価する。本研究では嗅結節内の2領域、前内側部と前外側部の間での機能差を行動薬理学実験で比較した。ラット脳に微小カニューレを留置し、嗅結節前内側部もしくは前内側部に局所的に薬剤を投与し、薬剤の作用が味覚反応試験に与える影響を評価した。実験にはmuオピオイド受容体作動薬DAMGO、オレキシンペプチド、GABAA受容体作動薬ムシモールの3種を用いた。嗅結節前内側部に薬剤を局所投与した場合では、3種類いずれの薬剤も快反応の増強が見られた。一方、嗅結節前外側部に薬剤を投与した場合はいずれの薬剤でも快反応の増強は見られなかった。これらの結果から、嗅結節前内側部には快反応を制御する役割が備わっていることが示唆された。
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Research Products
(7 results)