2018 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of peripheral clock abnormalities caused by disturbance of central-peripheral tissue linkage
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17KK0198
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
牛島 健太郎 自治医科大学, 医学部, 講師 (70448843)
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Project Period (FY) |
2018 – 2019
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Keywords | 時計遺伝子 / 糖尿病 / 臓器連関 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「視床下部に入力されるレプチンシグナルの欠損や低下が、脂肪細胞内の末梢時計を障害する」を作業仮説として、まず初めに遺伝子改変マウスの作製に取り組んだ。RNA干渉法を利用してマウス視床下部におけるレプチン発現量を低下させたが、内臓脂肪組織をはじめとする末梢時計機能 (種々の時計遺伝子mRNA 発現レベル) に著明な変化を認めなかった。これを受けて、レプチンシグナルの観点からの検討は中断することになったが、他の共同研究者からの助言もあり、内分泌ホルモンに着目した検討を行った。 基課題で注目しているDbp遺伝子の転写活性を調節する上流時計遺伝子の1つ、Bmal1を欠損したマウスにおいて興味深い知見が得られている。視床下部弓状核のNPY/AgRP神経細胞特異的にBmal1を欠損したマウスでは、膵臓分泌ホルモンのシグナル伝達活性が低下していることを共同研究者と共に明らかにした。このマウスではRibo-tagによるトランスクリプトーム解析において、エネルギー代謝調節遺伝子発現の昼夜リズムや絶食-摂食時の遺伝子発現応答に異常が認められた。また、膵臓ラ氏島細胞でBmal1を欠損させると、細胞内カルシウムシグナル伝達の異常およびそれに伴う遺伝子発現に異常を来たすことを明らかにした。以上より、視床下部弓状核NPY/AgRP神経細胞内のBmal1を介した膵ラ氏島機能制御の臓器連関、およびその破綻に伴うエネルギー調節異常に関する知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
レプチンシグナルに着目した検討において、期待される成果が得られなかった。しかし研究立案の時点で、脂肪組織内の時計機能制御に及ぼす交感神経系の関与が否定的であった場合は、内分泌系ホルモンに着目した検討に切り替える計画であり、今回の研究方針の転換は想定していたものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により、視床下部Bmal1を介した膵ラ氏島機能制御の臓器連関の可能性を見出しつつある。引き続き、膵ラ氏島内分泌ホルモンのシグナル伝達活性異常に引き起される糖代謝異常の詳細について研究を展開していく。 同時に、基課題で着目している臓器連関による脂肪組織内時計機能制御についても検討を行う。研究立案時の計画に従い、血液試料を用いたメタボロミクス解析等を行い、脂肪細胞内の末梢時計に影響する分子の探索を行う。
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