2018 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換におけるGTP代謝シグナルの解明と新たながん治療戦略
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17KK0199
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田畑 祥 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 訪問講師 (30708342)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 上皮間葉転換 / 核酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、上皮間葉転換(EMT)による代謝変化が、間葉系形質の維持に重要であることが報告されており、ピリミジン代謝に関与するジヒドロピリミジン脱水素酵素(DPYD)、中心代謝を制御するグルタミナーゼ(GLS)やピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4(PDK4)などの酵素が、EMTの代謝変化を制御することが明らかになっている。しかしながら、EMTの代謝機構は部分的な経路しか解析されておらず、その全容は不明な点が多い。 これまでに、基課題において上皮間葉転換(EMT)にアミノ酸代謝が重要なことが判明した。本課題では、EMTの代謝研究を発展させ、EMTと(ATP、GTP、TTP、CTP、UTPを含む)核酸代謝の関係性について検討を行った。トランスフォーミング増殖因子(TGF)-β でEMT を誘導した非小細胞肺がん細胞で、核酸代謝の変化をマイクロアレイ解析およびキャピラリー電気泳動-質量分析(CE-MS)法による網羅的な代謝解析(メタボローム解析)で調べた。メタボローム解析においてGTP代謝およびCTP代謝が変化していることが示唆された。また、マイクロアレイ解析で上記代謝に関与する酵素の発現を調べた結果、(CTP代謝経路上の)CTPの合成の律速酵素であるCTPシンターゼ(CTPS)の発現増加が示唆された。実際に、TGF-β誘導性のEMTでCTPSの発現が変化するか、mRNAレベル(Real-time PCR法)およびタンパク質レベル(ウェスタンブロット法)を調べたところ、有意に増加することが確認できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
EMTと核酸代謝の関係性について検討を行い、GTP代謝とCTP代謝の変化が明らかになってきた。CTP代謝の変化に関与する候補遺伝子としてCTPSを見出した。一方で、GTP代謝を変化させる原因は不明であり、さらなる検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
1. CTPSがEMTの状態を変化させるか検討する。CTPS遺伝子をノックダウンまたはノックアウトし、EMTマーカー遺伝子の発現変化、細胞移動能の評価を行う。 2. EMTがGTP代謝を変化させる原因について検討を行う。TGF-β誘導性のEMTにおいて、GTP代謝関連遺伝子のタンパク質レベルの変化について検討する。
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