2019 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換におけるGTP代謝シグナルの解明と新たながん治療戦略
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17KK0199
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田畑 祥 慶應義塾大学, 環境情報学部(藤沢), 訪問講師 (30708342)
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Project Period (FY) |
2018 – 2020
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Keywords | 上皮間葉転換 / 核酸代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT)は、がん転移において重要なプロセスの一つで、上皮細胞(細胞接着能の高い)が間葉系細胞(細胞接着能が低く、運動能が高い)に変化する現象である。EMTを獲得したがん細胞は極性の喪失、移動・浸潤能が亢進し、がんの転移に大きく貢献する。また、EMTは様々な抗がん剤に対して耐性を付与することから、がん治療の側面からも問題となっている。最近、EMTによる代謝変化が、間葉系形質の維持に重要であることが報告されており、ピリミジン代謝に関与するジヒドロピリミジン脱水素酵素、中心代謝を制御するグルタミナーゼやピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4などの酵素が、EMTの代謝変化を制御することが明らかになっている。しかしながら、EMTの代謝機構は部分的な経路しか解析されておらず、十分に理解されていない。本課題では、EMTと核酸代謝の関係性について着目し検討を行っている。前年度までに、我々はメタボローム解析およびマイクロアレイ解析においてEMTはCTP代謝を顕著に変化することを明らかにしている。そこで、本年度はCTP合成の律速酵素であるCTPシンターゼ(CTPS)がEMTに関与するか検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の計画に従って、EMTにおけるCTPSの機能解析を行った。CTPSのノックダウンはトランスフォーミング増殖因子(TGF)-βによるEMTマーカー遺伝子の発現誘導、細胞移動能、および抗がん(エルロチニブ耐性)剤耐性を抑制した。
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Strategy for Future Research Activity |
1. CTPSの発現が、どのような転写因子で制御されているか検討を行う。SNAIファミリー転写抑制因子、TWISTファミリーBHLH転写因子、及びジンクフィンガーEボックス結合ホメオボックスといったEMT誘導転写因子(EMT-TF)によって、EMT関連遺伝子の発現は制御されていることが知られているが、それらの転写因子がCTPSの発現を制御するのか検討を行う。 2.公共データベースを利用して、臨床腫瘍サンプルにおけるCTPSの発現解析を行う。公共のマイクロアレイデータベース[Gene Expression Omnibus (GEO)、The Cancer Genome Atlas(TCGA)など]では、実際のヒト腫瘍組織の遺伝子発現データを登録してあるので、CTPSが腫瘍組織で変化しているか、EMTステイタスと相関するか、予後との相関があるか調べる。
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Research Products
(1 results)