2020 Fiscal Year Research-status Report
上皮間葉転換におけるGTP代謝シグナルの解明と新たながん治療戦略
Project/Area Number |
17KK0199
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田畑 祥 大阪大学, 蛋白質研究所, 特任講師(常勤) (30708342)
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Project Period (FY) |
2018 – 2021
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Keywords | 上皮間葉転換 / メタボローム解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
上皮間葉転換(Epithelial-Mesenchymal Transition: EMT)は、がん転移において重要なプロセスの一つで、上皮細胞(細胞接着能の高い)が間葉系細胞(細胞 接着能が低く、運動能が高い)に変化する現象である。EMTを獲得したがん細胞は極性の喪失、移動・浸潤能が亢進し、がんの転移に大きく貢献する。また、EMT は様々な抗がん剤に対して耐性を付与することから、がん治療の側面からも問題となっている。最近、EMTによる代謝変化が、間葉系形質の維持に重要であることが報告されており、ピリミジン代謝に関与するジヒドロピリミジン脱水素酵素、中心代謝を制御するグルタミナーゼやピルビン酸脱水素酵素キナーゼ4などの 酵素が、EMTの代謝変化を制御することが明らかになっている。しかしながら、EMTの代謝機構は部分的な経路しか解析されておらず、十分に理解されていない。我々は、トランスクリプトームとメタボロームを組み合わせた多層オミックス解析によって、EMTに重要な酵素を同定した。現在、それら酵素のEMTにおける機能について調べている。 基課題では、主にEMTによるアミノ酸代謝変化について解析を行い、本課題では、核酸代謝に着目して検討を行っている。これまでに、EMTの核酸代謝制御因子として、cytidine-5'-triphosphate synthetase (CTPS)を見出しており、CTPSはEMTによる細胞運動の亢進および抗がん剤耐性に関与することが明らかになっている。核酸代謝とアミノ酸代謝はクロストークしていることから、今後はその関係性についても解析を進めていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の計画に従って、CTPSの発現がEMT誘導転写因子(SNAI1, TWIST1, およびZEB1)によって制御されているか検討を行った。TGF-βによるCTPS発現亢進がSNAI1ノックダウンで部分的に抑制された。また、肺がんTCGAデータセットを用いて、CTPS発現が生命予後に寄与するか検討を行った結果、CTPS高発現肺がん患者は予後不良であることが明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
以前の解析で、EMTに関与する酵素として同定したP4HA3遺伝子の機能解析を行う(下記)。 1. P4HA3強制発現細胞を作製し、EMTを誘導するか検討する。 2. 腫瘍移植マウスモデルを用いて、P4HA3ノックダウンまたは強制発現によって腫瘍組織内の代謝が変化するか検討する。
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Research Products
(3 results)