2019 Fiscal Year Research-status Report
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17KT0015
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中津 史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (50360607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三間 穣治 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (30335301)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 脂質交換輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内の脂質輸送には、小胞輸送を介する経路と介さない経路が存在する。小胞輸送非依存的な経路では、脂質輸送タンパク質が細胞内脂質輸送を媒介する。脂質輸送タンパク質は通常、疎水性である脂質を囲って運搬する脂質輸送ドメインを有しており、この脂質輸送ドメインを介して、合成場である小胞体から様々な最終目的地へ脂質を輸送する。この輸送の大きな特徴は、脂質輸送タンパク質が、異なる生体膜が近接した「膜接触部位」において脂質の輸送を制御する役割を担うことである。我々は、脂質輸送タンパク質であるオキシステロール結合タンパク質ファミリー分子群が、小胞体膜と細胞膜が近接する「小胞体―細胞膜接触部位」において、ホスファチジルセリンとイノシトールリン脂質PI4Pを交換輸送することを見いだした。本研究では、脂質輸送タンパク質群による脂質輸送を構成的手法によりin vitroで再構築することで、その詳細な分子メカニズムの解明およびその定量的な理解を目指している。 本年度はまず、イノシトールリン脂質制御酵素群を、酵素活性を保持しながら比活性の高い高純度の精製タンパク質の調整を試みた。昨年度から引き続き行っていた条件検討をもとにさらにプロトコルの最適化を図り、イノシトールリン脂質PI4P脱リン酸化酵素の精製に成功した。この精製タンパク質を用いて、オキシステロール結合タンパク質ファミリーによる脂質輸送アッセイ行ったところ、脂質輸送活性を検出することができた。また、オキシステロール結合タンパク質以外の脂質輸送タンパク質の精製も行っており、脂質輸送活性を保持した高純度の精製タンパク質の調整を目指している。これらの他に、イノシトールリン脂質リン酸化酵素ドメインの精製タンパク質の調整も進めているが、現在のところ、比活性の高い高純度の精製タンパク質を得るには至っておらず、引き続き条件検討をおこなっていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
種々の人工脂質二重膜(リポソーム)を用いて、オキシステロール結合タンパク質ファミリー分子の脂質輸送ドメインの精製タンパク質、およびイノシトールリン脂質脱リン酸化酵素の精製タンパク質を混合することで、in vitro脂質交換輸送アッセイの系の確立を完了した。この系を用いて、脂質交換輸送の定量に成功した。イノシトールリン脂質リン酸化酵素ドメインの精製タンパク質の調整も進めているが、現在のところ、比活性の高い高純度の精製タンパク質を得るには至っておらず、引き続き条件検討をおこなっていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
イノシトール脂質リン酸化酵素ドメインの精製タンパク質の調整を優先的に進める。酸化酵素活性の検証のためのプロトコルは確立されていることから、その活性を指標に、比活性の高い高純度精製タンパク質の調整を目指す。次いで、これらの精製タンパク質を用いて、in vitro脂質交換輸送アッセイを順次行い、定量解析を進める。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な理由は、イノシトール脂質リン酸化酵素の組換え精製タンパク質の調整に時間を要したことである。その精製タンパク質の調整を早期に完了できるよう努め、その後は当初の計画に沿って脂質交換輸送アッセイ等に経費を使用する予定である。
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