2019 Fiscal Year Research-status Report
Constitutive investigation of self-organized structure in animal group
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17KT0016
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Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
永井 健 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (40518932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 浩史 九州大学, 芸術工学研究院, 准教授 (20512627)
杉 拓磨 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 助教 (70571305)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | アクティブマター / C. elegans / 集団運動 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は線虫集団の秩序構造が乾燥耐性に与える影響について調べるために、高湿度化での線虫の挙動を中心的に研究した。本研究で用いる観察環境は湿度が高く線虫同士の接触面に水の膜ができるため、表面張力に起因する実効的な引力が線虫間に働く。湿度を高くしていくとその引力が強くなっていくため、多数の個体が寄り集まったクラスターができる。 このクラスターにいる個体は縁にいる一部を除くとほとんどの時間動きを見せない。間欠的に体をくねらすことはあるが、基本的には真っ直ぐな棒状の形状のままで静止している。間欠的な体の動きによって隣接する個体が刺激され、動き始めることもある。この興奮状態の伝播は数個体でおさまって元の動かない状態に戻ることが多いのだが、時折雪崩式に動き出す個体が増えていきクラスター中の全線虫が動き出す。クラスター全体に興奮状態が広がるとクラスターは花火の爆発のような挙動を見せた後に崩壊し、中の線虫はしばらく実験セルの中を動き回る。 我々はクラスター爆発が起こるメカニズムを明らかにするため、特定の細胞が蛍光を発する変異株を用いてクラスター内にいる個体の挙動を解析した。その結果、爆発が起こる直前はクラスター内部で線虫の体の向きが揃っていることがわかった。また、縁で動いていた個体がクラスター内部に入り込み、内部の個体を興奮させると爆発が起こることがわかった。 この集団中の個体の解析により高湿度下での挙動をモデル化できるようになり、線虫の集団挙動が持つ湿度環境維持への効果を評価するための足がかりを得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
線虫クラスター内の全個体を解析するための実験セットアップに想定外に時間がかかり、挙動の解析の途中で年度が終了してしまった。そのため、当初の目標であった集団運動が持つ機能性の解析を行うことができなかったのでやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に明らかになったクラスター内の個々体の挙動の情報を元にクラスター爆発の前に起きる興奮状態の伝播速度や興奮状態が起こる頻度などの解析を進める。また、それらの個体の挙動を考慮に入れた数理モデルを構築して解析し、爆発が起こるメカニズムを明らかにする。 クラスターの爆発は外敵の接近や湿度の急激な変化などへの対抗手段ではないかと我々は考えている。そこで、力学的な刺激、光刺激、天敵、周囲の湿度変化などの刺激を与えてクラスターの挙動を解析するとともに、生存率や刺激によって受ける損傷を評価する。この実験と数理モデルによる外部刺激に対する応答挙動の評価と照らし合わせながら、クラスター形成の機能性についての研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
線虫の全個体解析の実験セットアップに予定よりも時間がかかってしまい、計画に遅れが生じた。そのため、乾燥応答を調べるための研究費を使用しなかったので次年度に繰り越し、未達成の研究を続けることにした。
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Research Products
(7 results)