2018 Fiscal Year Research-status Report
局所的なホルモン応答操作技術の創成による環境適応型植物成長システムの構成的理解
Project/Area Number |
17KT0017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
打田 直行 名古屋大学, トランスフォーマティブ生命分子研究所, 特任准教授 (40467692)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | オーキシン / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
芽生えた場所の環境に適応して生育する植物は、体の各所での局所的環境応答を個体全体の生長へ反映させるシステムを持つ。しかし、その局所応答を全身統御へつなげる構成的システムの理解は不足している。本研究では、局所応答の起点の1つである低分子ホルモンのオーキシンに着目し、局所的オーキシン応答を操作する技術を創成して、局所的シグナル発信が全身性のシステムと連動した構成的な統御につながる様子を詳細に観察・解析・理解する。まず、オーキシン応答の自在操作のために、人工化合物とそれのみを受容する改変型オーキシン受容体(変異体)から成る人工ペアを創成する。この改変受容体を様々な部位特異的プロモーターで発現させ人工化合物を局所投与することでオーキシン応答を自在操作する戦略に挑戦する。その後、オーキシン応答を局所的に操作した植物を様々な環境条件で栽培し、局所応答と全身応答との構成的な連動システムの理解を目指す。 今年度は、昨年度に開発した人工化合物とそれのみを受容する改変型オーキシン受容体(変異体)から成る人工ペアの創成を受けて、そのさらなる発展を目指した。まず、昨年度に開発した人工ペアは、内在性のペアと比べて活性が一桁ほど弱いという欠点があった。そこで、その改良を目指したところ、内在性のペアと比べて一万倍強い人工ペアの開発に成功した。さらに、本人工ペアを用いてオーキシン応答を局所的に操作した植物を作成するのが本研究の課題であるので、そのために本人工ペアを細胞種特異的プロモーターで発現させた植物を作成しそれらのラインを確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、昨年度に開発した人工ペアの改良を達成したことに加え、本人工ペアを用いてオーキシン応答を局所的に操作するために本人工ペアを様々なプロモーターで発現させた植物を作成しそれらのラインを順調に確立することができた。以上のことから、現在までの進捗状況としては、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本人工ペアを様々な細胞種特異的プロモーターで発現させた植物を確立できたので、今後はそのラインを使ってオーキシン応答を部位特異的に操作した植物を様々な環境条件で栽培し、どの環境条件での生育がどの部位のオーキシン応答の変化によって影響を受けるのかを解析する。
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Causes of Carryover |
計画全体の進行には支障はない範囲で一部の植物の解析実施を次年度初頭に行うことになったため。
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