2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17KT0028
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
北野 潤 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 教授 (80346105)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 種分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物に見られる重要な特徴の一つは、連続性から不連続性が生まれ、それが維持される現象である。換言すると、生物が多様化しつつ、均一なものへとマージしてしまわない仕組みの解明が、生命の理解に必須である。淡水化年代、及び、海型イトヨとの交雑率の異なるような複数の淡水型イトヨ集団を用いて以下の問いを明らかにする。交雑のある集団では、染色体構造変化が進化しやすいのか?また、染色体構造変化が適応的分化に重要なのか?本年度は、日本の淡水集団の複数について、複数個体の全ゲノム解読を実施した。また、海型と淡水型の交配家系を作出した。一部の既作出の家系については、QTL解析を開始した。クロマチン構造解析の条件検討も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、必要な全ゲノム配列を得ることができた。また、解析に必要な交配家系も確立できたから。クロマチン構造解析の条件検討もできたから。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム配列より過去のデモグラフィーを推定するとともに、淡水型のゲノムにかかった選択圧を明らかにする。交配家系を利用して連鎖地図を作出し、QTL解析を実施する。また、クロマチン構造解析を実施する。具体的には、全ゲノムデータからアリルスペクトラム分析を利用して淡水化年代の推定と同時に、海型との遺伝子流動の有無を解析する。また、QTL解析のために、F2個体の各組織のRNA精製を行うとともに、体型の幾何学的解析を行う。また、RAD解析によってF2個体の連鎖地図を作出し、組換え抑制領域の有無を調べるとともに、当該領域にQTLが集積するかなどを解析する。また、既に得られているHi-Cデータを解析する。
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Causes of Carryover |
生きた魚を実験に用いる以上、年度末に実験を実施するべきか、あるいは、年度明け早々に実験を実施するべきかは、魚の育成具合をみて判断せねばならず、1-2週間の精度で実験計画を正確に予測するのは困難である。この残高は、魚の育成具合に応じて必要となる試料調整のための消耗品に当てることを目的として準備していたものであるが、魚の育成状況から年度明け早々に実験を実施する方が好ましいと判断されたため残高が出ることなった。翌年度への繰越額は少額であり、新年度早々にものであり、当初の計画に大きな変更を加えるものでは全くない。
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