2017 Fiscal Year Research-status Report
栄養環境センサーを分子基軸とした脊椎側弯症に対する発症・進行予測技術の開発
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17KT0051
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
檜井 栄一 金沢大学, 薬学系, 准教授 (70360865)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 功 金沢大学, 自然システム学系, 助教 (30774757)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 脊椎側弯症 |
Outline of Annual Research Achievements |
脊椎側弯症は脊椎が側方に湾曲する病気であり、思春期突発性脊椎側弯症は、思春期に突発的に発症する。したがって、外見の変化が明らかになるころには、脊椎の変形が相当に進んでおり、矯正術や外科的手術が必要となる。患者の精神的・身体的負担は計り知れないが、現時点では根本的治療薬や予測診断技術は開発をされていない。一方、栄養環境シグナルの一つであるアミノ酸シグナルの開始には、アミノ酸輸送を担うトランスポーターが必須である。初年度は、細胞特異的遺伝子改変マウスを用いて脊椎の形成およびその恒常性維持におけるアミノ酸トランスポーターの役割を解析した。軟骨細胞特異的欠損マウス作製のためCol2a1-Creマウスをドライバーマウスとして使用した。その結果、軟骨細胞特異的アミノ酸トランスポーター欠損マウスは、生後2週目以降に明確な脊椎側弯症の症状を呈した。さらに、この表現型出現に重要な時期を特定するために、タモキシフェン誘導型の時期特異的アミノ酸トランスポーター欠損マウスを作製し解析した。その結果、すくなくとも生後に遺伝子欠損を誘導した場合、著明な脊椎側弯症症状は観察されなかった。以上の結果から、胎生期の軟骨細胞におけるアミノ酸トランスポーターが生後の脊椎恒常性の維持や脊椎側弯症の発症に重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、細胞特異的遺伝子欠損マウスを用いた解析により、アミノ酸トランスポーター異常と脊椎側弯症発症との関連性を詳細に明らかにすることができた。さらに、脊椎側弯症の発症に重要な時期の絞り込みもできた。さらに遺伝子改変ゼブラフィッシュの作製も進んでいることから、「進展」と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、軟骨細胞のアミノ酸トランスポーターの下流因子(脊椎恒常性維持に関与する責任因子)の同定を行う。さらに骨の使い方がよりヒトに近いゼブラフィッシュを用いて、アミノ酸トランスポーター機能異常による脊椎側弯症の発症メカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
昨年度は遺伝子改変マウスの作製とその解析を進めた。一方遺伝子改変ゼブラフィッシュについては作製中であり、解析はまだ開始をしていない。したがって遺伝子改変動物の解析に使用予定であった経費に関しては、その一部を次年度に使用することになったため、「次年度使用額」が生じた。したがって、「次年度使用額」と「翌年度分として請求した助成金」を併せて、遺伝子改変動物の解析を進めるとともに、遺伝子欠損細胞を用いたメカニズム解明を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)