2017 Fiscal Year Research-status Report
オラリティを核とする共在や共感の質の定量評価と介入応用
Project/Area Number |
17KT0056
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川島 隆太 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90250828)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | 脳血流 / NIRS / 同期 |
Outline of Annual Research Achievements |
オラリティを核とする共在や共感の質を、実生活空間での脳活動計測データにより定量化し、ニューロフィードバック手法を応用してコミュニケーションや対面的社会関係の支援システムの構築を行うことが本研究の目的である。 初年度である平成29年度は、オラリティを核とする共在や共感の質の定量評価法の開発を目指すため、以下の実験計画を策定し、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得た。健康な右利きの大学生を被験者とし、認知特性や学問上の興味の異なるグループと近似したグループを形成し、日常生活上の興味や関心と近い話題、遠い課題についてグループ討議をさせ、その間の背外側前頭前野、背内側前頭前野の活動変化を超小型近赤外分光装置によって計測する。得られた脳血流データを、被験者間の同一脳領域、同一被験者の脳領域間の活動の関係(同調)を、Granger causality解析で評価する。集団間での共感・共鳴に関する指標として背内側前頭前野の脳活動の有意な同期割合を、言語的思考パターンの同調の指標として、大脳左半球の背外側前頭前野の同期割合を計測し、定性的評価指標(共感や共鳴の内観等)との相関を評価する。また個人内での言語的思考と共感性の同調を背内側、背外側前頭前野の領域間の同期割合で評価することにより、コミュニケーション場面における個人の認知特性との相関、それがコミュニケーション場面におけるオラリティに与える相互的影響を検討する。 また、計測に必要な超小型NIRS装置を購入し、脳領域間の活動の関係(同調)をGranger causality解析で評価するシステムを実装した。平成30年度に本実験を開始する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会承認に約4か月を要したが、無事に承認され、本実験を開始する準備はすべて整い、予定通りに研究は進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
コミュニケーション場面における個人の認知特性との相関、それがコミュニケーション場面におけるオラリティに与える相互的影響を検討したのちに、平成31年度にはオラリティの質のニューロフィードバックシステムを試作し、コミュニケーション支援システムの開発を目指す。健常な右利き大学生を被験者とし、同様にグループ討議課題を遂行させる。グループ討議中に、それまでの研究で最適化した聴覚フィードバック情報を、実験室内のBGMとして流し、被験者には「より脳同期が強まるよう、会話中になんらかの努力を行うように」と指示をする。フィードバック効果の評価は、内観調査や脳同期確率の経時変化によって行う。
|
Causes of Carryover |
倫理委員会承認に時間をとられたため、本実験開始が平成30年度になってしまったため。今年度は実験に必要な機器購入は終えて、解析システム構築も終了したため、すぐに予定の実験を開始できる。
|