2018 Fiscal Year Research-status Report
オラリティの進化史的基盤―対面状況での類人猿の共在機構
Project/Area Number |
17KT0058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 美知夫 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30322647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40390778)
中川 尚史 京都大学, 理学研究科, 教授 (70212082)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
基本的には前年度と同様、代表者・分担者・研究協力者によって、海外および国内の調査地(タンザニア共和国マハレ山塊国立公園、ガボン共和国ムカラバ-ドゥドゥ国立公園、宮城県金華山島、鹿児島県屋久島、名古屋市東山動植物園)にて各種霊長類を対象とした野外調査を継続した。 マハレの野生チンパンジーについては、社会的毛づくろいの際の微細な身ぶりや無声音のデータ収集を継続しておこなった。また、幼少個体が一頭だけで遊動している珍しい行動を確認し、これを短報としてまとめた。通常こうしたことは起こらないため、この時の行動などの分析を通じて、チンパンジーの共在に何が不可欠なのかを逆照射できる可能性がある。ガボン、ムカラバ-ドゥドゥ国立公園においては、人づけされたゴリラの観察を行った。ムカラバでは対象としていた集団のシルバーバックが消失してしまい、新たな集団が形成されるなど興味深い現象がおこっており、当初の計画にはなかったものの、そのプロセスに沿った社会関係の変化などの記録を継続して行っている。また、ゴリラの発する音声および身体を用いて発するものおとに着目して行動観察および分析を継続しておこなっている。これについては、過去に収集したゴリラの映像データも含めて分析をすすめた。 ニホンザルについては、リップスマックという表情やガーニーという音声を伴う「抱擁行動」に関するデータ収集を継続している。この行動は、視覚、聴覚、触覚の信号からなる複合感覚信号といえる。1984年11月から蓄積している金華山A群の調査で得られた抱擁行動のすべての事例をもとに分析を行った。その結果、いずれかの信号が明らかに欠ける事例があることが判明した。それが同じ効果がある冗長な信号なのか、効果が異なった非冗長な信号なのか今後検討を加えていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に比べると、研究代表者の学務負担が相対的に少なかったため、今年度はデータ入力や過去のデータ整理などを進めることができた。また、新たな研究協力者(中村、中川の研究室の大学院生)をタンザニアのマハレに派遣することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
いずれの調査地も長期フィールドであるため、継続的なデータ収集をおこなうとともに、そろそろ成果をまとめ、アウトプットできるように努めたい。
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Causes of Carryover |
諸事情で予定していた海外渡航を次年度に延期した。次年度に渡航する際に用いる。
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