2021 Fiscal Year Research-status Report
オラリティの進化史的基盤―対面状況での類人猿の共在機構
Project/Area Number |
17KT0058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 美知夫 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30322647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40390778)
中川 尚史 京都大学, 理学研究科, 教授 (70212082)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2023-03-31
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Keywords | 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も、昨年度に引き続き世界的な新型コロナウイルス感染蔓延のため、予定していた野外調査の多くが実施できなかった。とくに、海外調査については、今年も完全に中止となった。国内の調査地については、感染対策をしながら、縮小して実施した。学会大会なども、延期や中止になったものもあり、通常通りに成果発表をすることはできなかった。 タンザニア共和国マハレの野生チンパンジーについては、昨年度原稿を提出していた各種霊長類の挨拶に関するレビュー論文がようやく刊行された。また、海外調査が実施できなかったため、過去に蓄積してたチンパンジーのメスの挨拶に関してのデータ解析を進め、英語の学術論文としてまとめた。こちらは、国際学術誌への投稿まで完了し、現在査読者のコメントを元に改稿中である。また、マハレでチンパンジーと同所的に生息しているオナガザル科霊長類の行動に関するデータ収集をする予定であった研究協力者の大学院生も、渡航延期を余儀なくされたが、彼女も以前に収集したデータを元に短報を執筆し、2022年度に入ってから国際学術誌にアクセプトされた。 名古屋市東山動物園の飼育ゴリラの群れ、およびガボン共和国ムカラバ-ドゥドゥ国立公園で人づけされたゴリラ集団での社会的相互行為の映像資料を収集していたが、2021年度もこれらの映像資料の整理分析を継続している。 ニホンザルについては、緊張緩和機能のあるヤクシマザルの抱擁行動の群間変異に関する野外調査を昨年度に引き続きおこなった。群れによって抱擁行動の生起頻度や型に若干の違いが認められそうである。また、研究協力者の大学院生によって、同じくヤクシマザルの抱擁行動の発達に関する野外調査がおこなわれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で、海外渡航が難しかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外への渡航が制限付きではあるが可能になってきたので(ただし、所属機関によっては、いまだに慎重なところもある)、できるだけ早い段階でこれまでに実施できなかった海外調査を再開し、データを収集する。ただし、今後も状況が不透明であるため、若干研究内容を変更して、既存のデータの再分析などからも本研究課題の目的に繋がる情報を抽出し、成果に繋げることを検討する。
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Causes of Carryover |
世界的な新型コロナウイルス感染症蔓延のため、過去2年間に予定していた海外調査がすべて行えなかった。このため海外旅費として計上していた予算が大幅に残っている。 2022年度にできる限り海外調査をおこなって、遅れを取り戻す予定である。ただし、いまだに状況が不透明であることから、状況によっては、一部の予算を過去のデータ解析などに用いることも考える。
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[Presentation] 野生ニシローランドゴリラにおける社会変動後に形成された単雄群の血縁構造2021
Author(s)
田村 大也, 井上 英治, 藤田 志歩, Akomo-Okoue Etienne Francois, Nkogue Chimene Nze, 坪川 桂子, Ebang-Ella Ghislain Wilfried, Koumba-Kokumba Lilian Mangama, Patrice Makouloutou Nzassi, Bitome-Essono Paul Yannick, Mindonga-Nguelet Fred Loic, 安藤 智恵子, 竹ノ下 祐二
Organizer
日本霊長類学会
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