2022 Fiscal Year Annual Research Report
Coexistence mechanisms of great apes under face-to-face conditions
Project/Area Number |
17KT0058
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中村 美知夫 京都大学, 理学研究科, 准教授 (30322647)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹ノ下 祐二 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (40390778)
中川 尚史 京都大学, 理学研究科, 教授 (70212082)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2023-03-31
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Keywords | 相互行為 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年から2022年前半まで世界的な新型コロナウィルスの蔓延のため、当初予定していた国内外でのフィールド調査がなかなか実施できなかったが、2022年度にはようやく段階的に調査を再開することができるようになった。研究代表者の調査地であるタンザニア共和国マハレ山塊国立公園では、研究協力者がチンパンジーと同所的に生息しているオナガザル科霊長類の行動を対象としたフィールド調査をおこなった。これについては、現在成果の分析を進めている。 フィールド調査がなかなかおこなえない中、過去に蓄積してたチンパンジーのメスの挨拶に関してのデータ解析を進めていたが、この内容が2022年度に英語の学術論文として国際学術誌に掲載された。この論文では、1994年から2018年の間に観察した405件のメス同士の挨拶イベント(100観察時間あたり10.9件)を分析対象とした。このうち242件がパントグラントという音声を伴った挨拶であり(100観察時間あたり6.5件)、42.3%は触覚や身振りなどの音声を伴わない挨拶であった。パントグラントの多くは年長のメスに向けられたものであった。この傾向は、最も頻繁に挨拶をおこなうのが20歳未満のメスであり、年上のメスに向けてパントグラントをおこなうことが大部分であることと関係すると思われる。また、マハレではメス間のパントグラントの発生頻度は、オトナオスに向けられるものに比べてはるかに低い。さらには、メス同士のパントグラントの発生頻度は地域によっても大きく異なるようである。これは、調査地間でメスの集合性が異なるためと思われる。
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Research Products
(9 results)