2018 Fiscal Year Research-status Report
対話合成実験に基づく,話の面白さが生きる「間」の研究
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17KT0059
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
定延 利之 京都大学, 文学研究科, 教授 (50235305)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | 対話 / 間 / 面白さ / 音声 / スピーチアクト / 状況 / コミュニケーション / スキル |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに収録したデータを観察すると共に、前年度末に得た知見に基づき、今年度は、文法論的~語用論的な観点から、コミュニケーション行動とタイミング、さらに状況の関係について考察を進めた。日本語と中国語、さらに、日本語母語話者と日本語学習者の発話タイミングを調べる中で、スピーチアクトによって、とられる「間」の種類と意味に違いがあるのではないか、そして「間」の種類と意味はスピーチアクトごとにばらばらなものがあるのではなく、スピーチアクトのタイプごとに、類型化できるのではないかという見解に達した。これは逆に言えば、従来の言語哲学者由来の概念的なスピーチアクト分類法(これは「常識的」であるがゆえに言語差をとらえきれない)から離れて、コミュニケーションの中の話し手の行動に即したタイミング基準のスピーチアクト分類法が開発できる可能性があるということでもある。 スピーチアクトのISOを構築しようとするHarry Buntらの情報処理的な立場を一方の極とし、個別言語ごとの終助詞やイントネーションの各論の集積で済まそうとする伝統文法の立場を他方の極とすれば、両極の間の、どのあたりの位置どりでスピーチアクトを考えれば、音声言語そして状況の意味に関する最善の理解が得られるのか、そこにおいて言語のイノベーション、文化の変動をどのような形で認めればよいのかということを根本的な問題意識として、上記の見解を検証するために、音声を中心とした実験の構想を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に果たせなかった日本語学習者の対話データも問題なく収録でき、検証すべき仮説も(予定していたよりも音声中心という形ではあるが)具体化されつつあり、次年度の実験が見えてきている。順調に計画を進めることができたので、(2)と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き対話収録をおこないたい。それと同時に、本研究プロジェクトの中心となる仮説群の精錬、そして実験を計画している。
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Causes of Carryover |
対面式録音ブースについて、研究協力者・林良子氏の所属機関(神戸大学)で利用していたが、研究代表者・定延の所属機関(京都大学)でも設置可能な状況となり、今後の実験や会話収録のための利便性が向上することを考え、京都大学に設置した。また、2019年2月の研究集会のための準備をおこなった。
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Research Products
(20 results)