2017 Fiscal Year Research-status Report
農資源としてのカヤ生産に欠かせないカヤ場の多面的評価:カヤ場の持続利用にむけて
Project/Area Number |
17KT0068
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90391151)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井田 秀行 信州大学, 学術研究院教育学系, 准教授 (70324217)
藤嶽 暢英 神戸大学, 農学研究科, 教授 (50243332)
辻村 真貴 筑波大学, 生命環境系, 教授 (10273301)
大塚 俊之 岐阜大学, 学内共同利用施設等, 教授 (90272351)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | カヤ場 / ノガリヤス / 人工草地 / 火入れ / 生態系機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
カヤ場が有する様々な生態系機能を多面的に評価し、カヤ場の持続利用を再考することを目的として当初は、維持管理されているカヤ場と放棄されたカヤ場を対象として、1)カヤ場の生物多様性(主に植物と土壌微生物の群集構造)、2)カヤ場の炭素循環機能、3)カヤ場の水循環機能、4)カヤ場管理が災害リスク軽減に及ぼす影響、および5)カヤ利用に関する伝統知の継承の計5項目の調査を計画していた。しかし、実際に配分された予算と実施期間を考慮して、維持管理されているカヤ場の1)、2)、3)、5)の4項目に焦点を絞り研究を進めることにした。 初年度は、2017年10月に研究分担者全員が重点調査地である長野県小谷村千国の牧の入カヤ場に集まり、フィールド視察後に研究打ち合わせを行い各項目の研究計画を議論し、実現可能なものとした。さらに同じく2017年10月に調査地全域のドローンを用いた空撮を行い、その後現地踏査の結果と合わせて植生分布パターンの推定を行った。この研究内容は、研究分担者の指導学生の卒業研究としてまとめた。また、同調査地で採集されるカヤ(カリヤス)の炭素および窒素含有率を計測し、カリヤスは窒素含有率が極めて低いことを明らかにした。さらに、上記5)を進めるべく、カヤ場利用とカヤ場研究を平易な文章とイラストで分かり易く紹介するためのフリーペーパー発刊に向けた取材を実施した。取材内容をまとめたフリーペーパーの初版は2018年6月中に発刊する予定で準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特設分野の内定通知が昨年7月にあり、それから準備を始めることになった。そのために、獲得した予算枠で研究計画を再考するとともに、調査地における調査利用許可を得るために時間を要し、実際に研究を開始できたのが、2017年10月に入った。寒冷地にある長野県小谷村の植物の生育期間は主に5月から9月であり、それまでに調査を開始することができなかったために、初年度は、メンバー全員によるフィールド視察と調査予定地の植生分布推定、およびフリーペーパー誌による研究紹介がまでしか進めることが出来なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、初年度に推定した長野県小谷村千国の茅場全域の植生分布パターン情報を用いて、植生タイプが異なる複数の調査地点を決定し、各地点の植物およびカヤ分解に関わる菌類群集の把握、各地点の土壌有機物量およびその質的評価、カヤによるCO2固定量、カヤ場の水循環特性の把握、さらにカヤの化学的組成緒把握等の調査・分析を行う。 これらの理化学的研究に加えて、作成中のフリーペーパーを活用した茅葺き職人と現地住民への知識普及活動を行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究の開始時期が半期遅れたことに加えて調査予定のカヤ場の火入れ時期を考慮して、当初予定していたフィールド調査の大部分を次年度に回した。その結果、次年度使用額が5,072,618円となった。
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