2017 Fiscal Year Research-status Report
Agricultural Resource Utilization with linkage of Agriculture, Nutrition and Health to Establish Sustainable Society
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17KT0073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 浩敬 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (50451901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
工藤 尚悟 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (20755798)
土屋 一彬 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40615639)
関山 牧子 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任准教授 (90396896)
ギータ モハン 東京大学, サステイナビリティ学連携研究機構, 特任助教 (90647075)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 農業-健康-栄養の連関 / 栄養の二重負荷 / 生物多様性 / インドネシア / ベトナム / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年その重要性が指摘される農業・栄養・健康の連環を明確に考慮した、人々の健康を基準とする適切な食料需要体系、および伝統的な農業生産体系と近代的な農業生産体系とを組み合わせた新たな農業生産体系を提示するとともに、それに基づいた、都市-農村の食料消費-生産に関する農業資源利用の確立による持続型社会の構築を目的としている。本年度は、調査対象国であるインドネシア、ベトナム、ケニア、それぞれにおいて現地カウンターパートとの研究目的・内容の共有を行うとともに、具体的な研究の進め方について議論を行った。また、インドネシアにおいて本研究のパイロットスタディに位置づけられる調査を実施した。具体的には、ボゴール県スカジャディ村を対象に、1)農業生産・土地利用に関する調査、2)24時間思い出し法による食事調査、3)質問紙調査による農家のリスク選好、4)農産物流通の概要把握、5)小学生・その母親・露天商への介入実験、等を実施した。これらから以下が明らかとなった。まず、食料摂取に関して、購入が多くを占めるようになっているが、家族・親族・近隣住民とのシェアもいまだ存在する。農家のリスク選好については、対象地域が、都市(ボゴール)に近く就業機会が多様であることから、農業等に関してリスクをとる者は少ない。また農産物ついては、いまだ伝統的な仲買人が村落内流通において重要な役割を担っている。さらに、5)から、栄養に関する授業による小学生の知識の向上、母親の栄養不良(肥満等)、改善のためのメニューに関する知識需要が確認された。また露天商については、栄養に関する認識変容を促すとともに、新しいメニューの共同考案と販売実験を行い、導入可能性について検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で触れたように、本年度は、調査対象国であるインドネシア、ベトナム、ケニア、それぞれの現地カウンターパートと、研究目的・内容の共有を行うとともに、具体的な研究の進め方について議論を行った。またそれに付随して、複数回にわたる現地調査を実施し(インドネシア・2回、ベトナム・2回・ケニア1回)、調査対象地域の選定と、概要把握、研究フレームワークの精緻化を実施した。前者の研究フレームワークの精緻化については、本研究の目的に反映されるとともに、書籍の1つの章としてとりまとめるなどした。また研究体制についても、本プロセスを通じて現地カウンターパートを含め強化することができた。さらに、今年度は、関連する国際シンポジウム、および国際シンポジウムにおける1セッションを、それぞれケニア、日本にてオーガナイズしている。本国際シンポジウム、およびセッションでは、日本側研究者はもちろん、現地カウンターパートのコアとなる研究者を招へいし、研究成果のシェアや、今後の研究の進め方について議論するとともに、研究成果の発信を行った。また、これ以外にも小規模な研究打ち合わせを研究者間で実施している。以上のように本年度は、主に対象国のカウンターパートを含んだ研究体制の構築を主に実施した。またパイロットスタディ、予備的調査を実施し、研究フレームワーク・手法の精緻化を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度に構築した研究体制や実施したパイロットスタディ、予備的調査に基づき調査研究、およびその成果発表を行う。また、本年度のように定期的に研究ミーティングを行い、研究進捗のシェアや研究成果の統合等を行う。また国際研究集会等の機会を利用し研究成果の発信に努める。
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究参加者が、異動に伴い、研究費の配分ができなかった点がまず挙げられる。また、研究実施の過程で、研究体制の強化と研究内容の精緻化を図った結果、次年度の調査研究費(旅費を含む)を充実させるべきとの結論に至ったため。次年度は、これをを踏まえ、調査研究費に多く支出する予定である。また、異動となった研究者も参画予定であり、それらへ支出を行う。
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