2019 Fiscal Year Annual Research Report
Rehabilitation of decontaminated soil using ecosystem multifunctionality
Project/Area Number |
17KT0074
|
Research Institution | Fukushima University |
Principal Investigator |
金子 信博 福島大学, 食農学類, 教授 (30183271)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中森 泰三 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (50443081)
浅井 元朗 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 連携調整・専門役等 (40355524)
好野 奈美子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 東北農業研究センター, 主任研究員 (20568547)
大瀬 健嗣 福島大学, 食農学類, 教授 (90396606)
石井 秀樹 福島大学, 食農学類, 准教授 (70613230)
渡邊 芳倫 福島大学, 食農学類, 准教授 (30548855)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | 保全農業 / 生物多様性 / 不耕起栽培 / 草生栽培 / 生態系機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
福島第一原子力発電所事故により環境中に放出された放射性セシウムによって、土壌が広範囲に汚染された。土壌の除染には表土を剥ぎ取り、汚染されていない山砂を敷設する方法がとられたため、肥沃度が大幅に低下した。除染農地の肥沃度を向上させ持続可能な農業生産につなげるために、不耕起・草生栽培の効果を調べた。不耕起・草生栽培では、耕起せず、生えてきた雑草を刈り取り、その場に置いて分解させる。したがって、地面が露出せず、根の量も多いので、土壌生物にとっての生息環境はよくなると考えた。 土壌硬度の変化を調べたところ、不耕起栽培では実験初期に耕起より表層から30cmまでの層が硬かったが、時間の経過とともに表層から5cmまでの層は耕起栽培より柔らかくなった。土壌炭素濃度は初期に耕起の方が、高かった。これは山砂より炭素濃度の高い下層土が耕耘により混入したためであった。2年半後には不耕起区の特に下層(15-30cm)で炭素濃度が上昇し、雑草の根による炭素の供給が寄与していた。一方、土壌下層の無機態窒素の溶脱は処理間で明瞭な傾向を示さなかった。 土壌からの羽化昆虫は不耕起・草生区で耕起区より多く、地上部のクモ類の個体数を増加させていた。一方、大型土壌動物群集の違いは見られなかった。 コムギ、ダイズの収量は不耕起が耕起より少なかったが、最終年のダイズは、不耕起の方が耕起より多く、期間中の多雨により耕起区では過湿となったが、不耕起区では相対的に良好な水分条件であった。 収量と土壌の理化学性、天敵を多機能性として評価した結果、不耕起・草生で施肥をすることで、最もスコアが高くなった。農業の経営コストを下げつつ農地の機能を維持する方法として不耕起・草生栽培が有効であることが示された。
|