2019 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding human nature to reduce conflict: a new field of research which combines psychology, neuroscience and genetics
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17KT0088
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
野村 理朗 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (60399011)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 攻撃性 / 内・外集団 / 利他性 / 畏敬 / オキシトシン / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
紛争の急所となる攻撃行動を促進・緩和する心理特性、社会自然環境の影響を検討することにより、人間の本性と可塑性をふまえた紛争の予防・解決にかかわる基礎知見を得ることを目的とし、以下の研究成果を得た。 1)畏敬は二種の類型、”Positive-awe”と“Threated-awe”に大別され、後者の“Threated-awe”が攻撃性を喚起する可能性を示唆してきた。その一方で、threat-aweは内集団(家族、友人など)への利他性を促進することから、紛争事態において散見される外集団への攻撃性と、内集団への利他・協力行動の発露として“Threated-awe”が関わる可能性を新たに示した。 2)こうした攻撃・利他的行動の源泉となる二種のaweの神経メカニズムについてfMRIを用いて検討した。その結果、左中側頭溝(lMTG)を中核とする機能的結合性ネットワークが、二種の畏敬の源泉によって異なる様相を示した。すなわちlMTGからPositive-aweは審美的経験等にかかわる脳部位と、Threat-aweは脅威の知覚と関わる扁桃体などとの結合が確認され、畏敬は利害や自己からの解放、すなわち手放し(liberation)ともいえようプロセスが独自の行動特性を生じうる可能性を示した。 3)攻撃性は前傾姿勢と関連する。とくに泣き声に対して前傾姿勢が顕著となる個人における心拍数の上昇の過程を明らかにした。そうした前傾姿勢は,個人特性としての衝動性と正に相関すること,また接近的行動は個人のオキシトシンレベル(唾液から定量化)により緩和されることが示された。またストレス状況(ここでは認知的負荷)で泣き声を提示すると,オキシトシン受容体遺伝子多型(oxytocin receptor gene polymorphism)のGアレルにおいて情動を制御することが困難となることなどが示された。
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Research Products
(11 results)