2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of Anti-Bullying and Peace Education Program
Project/Area Number |
17KT0091
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
栗原 慎二 広島大学, 教育学研究科, 教授 (80363000)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 眞治 比治山大学, 現代文化学部, 教授 (60112158)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | 多様性の受容 / ダイバーシティ / キャリア教育 / 愛着 / レジリエンス / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度はハワイを視察した。ハワイはネイティブハワイアンを含むMinorityといわれる民族が大多数を構成している社会である。その意味でMinority Majyority Societyといわれる。その視察を通じて、平和の対概念は戦争や暴力だけではなく、差別や偏見などを含む広範な概念であり、平和とは、多様性の受容やダイバーシティの実現をも含む概念ととらえることができるということであった。 視察を受けて研究の方向性について、平和構築を対人関係における問題解決と狭く捉えるのではなく、コミュニティにおける問題解決をも含む概念としてとらえる方向に軌道修正した。 こうした観点から2018年度は2つのプログラムを実施した。一つ目はフィリピンでのストリートチルドレン保護施設(SPECS)での実践で、貧困と虐待にもかかわらず、ドラッグや犯罪に手を染めることなく、前向きに人生を切り開く能力を形成するための「愛着とレジリエンス形成プログラム」である。それが平和な社会の実現に役立つと考えたからである。SPECSでは、ストリートチルドレン29名を対象に各回20分のアクティビティを30回実施するプログラムが現在進行中である。評価に関しては、先行研究をもとに、毎月の変化を測定する簡易版と、プログラムの前後で実施する完全版を作成し、その変化を記録している。評価の対象は、1)プログラム自体、2)抽出児童7名である。 二つ目は貧困地域に立つ私立学校(PEIS)におけるキャリア教育プログラムである。平和なコミュニティを作る能力を持った人材の育成が平和構築の基盤となると考えたからである。PEISでのキャリア教育プログラムは事前学習(6H)・キャリア体験ツアー(2泊3日)・事後学習(6H)で構成された。評価は事前事後のアンケート調査と各セッションごとのアンケート等によって行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年度は調査が中心で、実践プログラムの実施にまでたどり着かなかったが、2018年度は基本的な考え方と方向性を定め、2つの実践機関を決定し、実際にプログラムの実施にこぎつけた。 ストリートチルドレン保護施設のSPECSでは2019年6月に30回の実践すべてが完了の予定で、その後はデータの分析に移ることができる予定である。 また、貧困地域に立つ私立学校も1年間にわたる実践が終了し、データの回収も行い、今後はその分析を行うことが可能な状態になっている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度は最終年度であり、まとめを行うことが必要になる。2つの実践のうち、キャリア教育に関連するデータはすでに手元にあり、今後その分析を行う。また、愛着とレジリエンス形成プログラムのデータについては、最終的には9月をめどに回収を行う。 また、2019年度は、2018年度の実践をもとに修正したプログラムを2つの機関で実施し、改良版の実践プログラムを実施し、そのデータを収集し、追加の分析を行う予定である。なお、フィリピンでは、現地のスタッフにプログラムを提供しても確実な実施を期待することが現実的に非常に難しい。したがって、年間4回ほどの現地訪問を行い、実践の確認と評価を行う予定である。 なお、平和構築における実践的課題という点に関して、当初の問題意識とかなりの変化が生じてきている。その部分との整合性を図ることが課題となっている。
|
Causes of Carryover |
研究分担者の石井眞治教授が使用する予定だったが、学長であることもあり、予定していた海外出張に行くことができなくなった。それが2019年3月の出来事であり、短期間で無理に使うよりは、2019年度も海外調査と実践のための渡航する予定が複数回あることから、残額は、海外渡航費として2019年度に使用することとした。
|