2017 Fiscal Year Research-status Report
細胞集団が微小環境の広さと硬さを検知する機構の解明
Project/Area Number |
17KT0104
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
栗山 正 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30398226)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 集団移動 / 神経堤細胞 / メカノタクシス |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカツメガエル頭部神経堤細胞は集団的に移動・浸潤し、頭部骨格などの発生に寄与する。本研究は細胞外の力学的環境が集団移動に与える影響を調べるため、細胞外基質濃度を一定にしたまま硬さを変えることのできる素材を用いて行う。ストライプ状に硬さの異なるゲルを配置し、その上に神経堤細胞塊を置いたところ、他の刺激が無くとも硬さの境界面に沿って細胞集団が移動することを発見した。ストライプの幅を変える事によっても移動ができなくなるため細胞集団が空間の広さと硬さを何らかのセンサー機構を用いて感知していることが考えられた。この機構を明らかにしたい。この目的を果たすためには細胞集団を集団として観察することはもちろん、個々の細胞レベルでの細胞接着や細胞骨格の挙動を追う必要がある。また細胞間にかかる力を推定する方法を開発することにより集団移動中の力の伝搬がどのように起こるのかを明らかにしようと考えている。これまでの過去の研究により集団移動中の神経堤細胞にはN-カドヘリンが必要であると考えられているが、集団的な力学感知に基づく移動(Collective Durotaxisと仮に名付ける)は阻害されなかった。これに伴い他の細胞間接着制御因子の候補について検証した。さらにその内の1分子の膜内構造をFRETテンションセンサーに改変し検証を行った。遺伝子のノックダウン、ノックアウト効率に問題があったため近縁動物であるネッタイツメガエルを導入し手法を改良しようと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
メカノゲルの作成には他大学の連携研究者の助力があった。様々な要因によりゲルの作成手順を変更せざるを得なくなったため、データの連続性にやや問題が生じている。再度検証を行い、実験条件を最適化したい。また細胞レベルのイメージングによる細胞へのダメージで、低倍では問題なく出来ていたイメージングがうまく働かないという問題も抱えている。バイオセンサーの検証にはこのような問題の解決が必要であるため当初実験計画に入っていなかったツールも導入して問題を解決しようと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでメカノゲルは連携研究者が作成しているものを使用してきたが、より一般性を上げるため市販のハイドロゲルを使用する。イギリスUCLのグループから生体環境における硬さを直接測定した結果が発表され、その硬さが現在使用しているゲルの硬さよりも1000倍柔らかかった。しかし硬さの違いを認識している事が報告されている。彼らの研究手法との比較も生体環境での挙動を明らかにするためには必要である。絶対的な硬さと認知的な硬さの間にギャップがあるか感知すべき硬さのスケールを変更する仕組みがあるとも考えられる。現在の方向性は早くにまとめる方向で動き、より大きな課題である「スケールシフト」を解くカギを見つけるのに役立つように研究をすすめたいと考えている。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変の為のツールを購入する予定だったが、実験の検証がうまく行かず複数の候補が絞りきれなかったので判断を保留した。それに伴い使用する予定だった消耗品費などを次年度に回した。また人件費は当該研究室の他プロジェクトから賄われる事になったので消耗品費などに回す事にした。変更額が少額のためと臨機応変な対応のため予め変更申請はしていない。
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Research Products
(2 results)