2018 Fiscal Year Research-status Report
Fundamental analysis for the bottom-up type reconstitute of RNA transport across the nuclear pore complex
Project/Area Number |
17KT0113
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
吉久 徹 兵庫県立大学, 生命理学研究科, 教授 (60212312)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | 核–細胞質間輸送 / RNA / nucleoporin / ヒドロゲル / 透過障壁 |
Outline of Annual Research Achievements |
核膜孔は、約60 kDa以下の分子の自由拡散とより大きな分子の能動輸送とを双方向的に司る輸送装置である。近年、核膜孔構成タンパク質Nupの形成するヒドロゲルが透過障壁、能動輸送場の両方のコアとなることが、タンパク質を輸送基質とした解析で判ってきた。しかし、RNAの輸送に関してNupの果たす役割の研究は遅れていた。そこで申請者は、RNAの核-細胞質間輸送の理解のため、輸送の方向性を再現できるRNA輸送のin vitro系構築をボトムアップ的に進めた。本研究計画では、1)様々なRNAに対して透過障壁となるNupヒドロゲルの作成、2)輸送担体依存の核外・核内双方向の輸送が知られているtRNAについて、その能動輸送を反映する特性をNupゲルが持つかの検討、3)Nupゲル薄膜を用い、方向性を持った輸送を再現できる再構成系の構築、4)Nupの特性を反映した化学構造のより単純な人工ゲルの開発とゲルが必要とする構造特性の解明、の4点に関して構成的システム生物学的な解析を展開する。 本年度は昨年度に引き続き、出芽酵母由来のNupヒドロゲル形成のための複数のNup(Nsp1、Nup49、Nup100、Nup116)のFGリピート領域の精製、さらに、精製Nupを用いてヒドロゲル形成の条件検討を行った。また、tRNAの核膜孔透過を再現するのに必要なtRNAの細胞内濃度を決定するため、酵母の各tRNA種の絶対量を定量する手法を確立した。この中で、ヒドロゲル形成において、高濃度のNup組換えタンパク質の取り扱いが予想以上に困難であることが明らかとなり、その条件検討に多くの時間を費やすこととなり、年度内にRNA浸潤アッセイに進むことができなかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述のように高濃度のNup溶液の取り扱いの困難さから、2018年度はNup組換えタンパク質の精製、ヒドロゲル作製の条件検討の段階に到達したに留まったが、ようやく、高濃度タンパク質を用いたゲル化の条件が整いつつある。合わせて、人工ヒドロゲル構築のためのモノマー合成の検討にも入っており、1)項と4)項について予定よりは遅れているものの、計画を進めている。また、出芽酵母の細胞内での個々のtRNA種の濃度がtRNA絶対定量法からおよそ0.5~10 μMの範囲にあることが判ったので、in vitroの実験はこのtRNA濃度を参考に実施する。
|
Strategy for Future Research Activity |
前述の様に計画に遅れがあるのでこれを取り戻すべく、今年度は研究の進捗を急ぐ予定である。研究材料に関しては揃いつつあるため、当初の計画を順次、時間が許す限り進めることとする。なお、NupヒドロゲルへのRNAの浸潤アッセイの結果がある意味、その後の研究計画の可否に関してキーとなるデータを与える。現時点では遅れを取り戻すため、NupヒドロゲルによるRNA浸潤アッセイと合成モノマーを利用した人工ヒドロゲルによるRNA浸潤アッセイを並行して行い、その結果を持って以降の研究展開の修正が必要かどうかの判断する予定である。
|