2017 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of cell movement independent morphogenetic mechanisms in notochord formation
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17KT0114
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
安岡 有理 沖縄科学技術大学院大学, マリンゲノミックスユニット, 研究員 (70724954)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 発生 / 細胞外基質 / ケラタン硫酸 / ゲノム編集 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)ネッタイツメガエルノックイン系統を作成するため、Cas9タンパク質と一本鎖ドナーDNAを受精卵に顕微注入した。その結果、脊索で発現する内在の遺伝子にFLAGタグを挿入し、ゲノムPCRおよび免疫染色にて検出することに成功した。多種の一本鎖ドナーDNAを用いた結果、gRNAと相補的かつホストゲノムとのホモロジー部位が非対称なものが最もノックイン効率がいいことを見出した。 (2)ツメガエル胚に各種阻害剤を作用させ、脊索の形態変化を観察したところ、既報文献通りlysyl oxidase阻害剤(bAPN)で脊索の屈曲が見られた。その他、caveolin阻害剤(genistein)、小胞体ーゴルジ間輸送阻害剤(Brefeldin A)、H+ATPase阻害剤(Bafilomycin)については、胚への毒性が高く、有効な作用濃度・期間を決定しきれなかった。Keratanaseについては、胚外から作用させたり、割球内への顕微注入、胞胚腔への顕微注入を試みたが、いずれも内在のケラタン硫酸を分解できなかった。そこで、ケラタン硫酸の合成に関わる酵素の発現解析を行い、硫酸化酵素Chst2、Chst3、Chst6が脊索で強く発現し、Chst1、Chst4が耳胞で強く発現していることを見出した。アンチセンスモルフォリノオリゴによる機能阻害実験を行った結果、Chst1の機能阻害で耳胞のケラタン硫酸が5D4抗体で検出されなくなった。また、Chst3の機能阻害で脊索の形態形成異常が見られた。これらの結果は、ケラタン硫酸が保水剤としてこれらの器官の形態維持に働いていることを示唆している。外植体を用いた実験は、そもそもアクチビン処理で効率よく脊索を作成することができなかったため、さらなる条件検討が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ゲノム編集によるノックイン実験は、一定の成果を上げており、今後さらなる進展が見込める。脊索の形態形成に関わる因子の摂動実験は、ケラタン硫酸に注目した解析が進展し、組織特異的な合成酵素の発現によるケラタン硫酸合成とその発生学的意義、という新たなテーマが生まれた。他の因子についても、薬剤処理の条件検討がある程度進み、今後の基盤ができあがった。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)ネッタイツメガエルノックイン系統の作成を引き続き行う。一本鎖ドナーDNAを用いた実験が軌道に乗ったので、今後は蛍光タンパク質のノックインを検討し、種々の内在性脊索特異的遺伝子のタグ標識を試みる。 (2)ケラタン硫酸の解析を継続し、その発生学的意義を検討する。他の細胞生物学的要素に関しても、薬剤処理実験や外植体実験を重ねて、脊索の形態形成における各要素間の相互作用を検討する。 (4)ナメクジウオ胚を用いた遺伝子発現解析を行い、まずは各脊索特異的遺伝子の発現の保存性を検討する。その後、各要素の摂動実験を行い、機能的保存性も検討する。
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