2017 Fiscal Year Research-status Report
増殖中の分裂酵母細胞におけるリボソーム数制御機構の解析
Project/Area Number |
17KT0116
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
近重 裕次 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究マネージャー (60359081)
|
Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
|
Keywords | リボソーム / 分裂酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
リボソームが、細胞増殖に必要なタンパク質を合成するための道具であるなら、リボソームが多ければそれだけ、必要なタンパク質をすみやかに獲得できると考えられるが、一方で、道具としてのリボソームそのものの合成に、多くのリボソームを費やすことにもなる。細胞が与えられた環境での増殖に至適な数のリボソームを維持するには、「リボソームを作るために使われるリボソームの割合」を適切に保つ必要があると考えられる。本課題では、分裂酵母を用いて、増殖細胞における栄養源の増減に応じたリボソーム数維持制御機構の解明を目的としている。これまでに申請者らは、「リボソームを作るために使われるリボソームの割合」を示す指標として、増殖細胞における全mRNAに対するリボソームタンパク質遺伝子のmRNAが占める割合(r-fraction)が、培地中の窒素源濃度の違いに応じて変化することを見出している。本年度は、リボソーム数維持に直接関与すると考えられるI型RNAポリメラーゼ遺伝子(nuc1)および、mRNA転写に直接関与すると考えられるII型RNAポリメラーゼ遺伝子(rpb1)の変異体におけるr-fractionをDNAマイクロアレイを用いて解析した。加えて、リボソーム数維持に直接関与すると考えられるリボソームタンパク質遺伝子については、142遺伝子の内、110遺伝子についてその破壊株を作成し、それぞれの増殖能を解析した。さらに、ポリソーム分析により、培地中の窒素濃度の違いによる各mRNAの翻訳されやすさの変動について解析した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
交付決定が7月中旬となり、研究開始が遅れた。H29年度の実施計画の内、nuc1変異体の解析を行い、さらに、リボソームタンパク質遺伝子の網羅的な破壊をすすめ110の破壊株を取得した。H29年度に予定していたリボソーム18Sサプユニット遺伝子rps1802変異体の解析、ヒストン修飾関連遺伝子群の解析は、H30年度以降に先送りとなったが、一方、H30年度に計画していたrpb1変異体の解析および、ポリソーム分析を前倒しで行っており、研究を開始した後は、順調に進捗している。
|
Strategy for Future Research Activity |
リボソーム18Sサプユニット遺伝子rps1802変異体に加え、H29年度に獲得した110株のリボソームタンパク質遺伝子の破壊株について、増殖レベルを検討し、増殖遅延の認められる破壊株について、mRNAレベルの計測を行い、リボソームタンパク質遺伝子破壊によるr-fractionへの影響をすすめる。加えて、ヒストン修飾関連遺伝子群のr-fractionへの関連を解析する。
|
Causes of Carryover |
採択が7月中旬となり、研究開始が遅れたことから、遺伝子破壊株、突然変異株の取得に時間を要し、DNAマイクロアレイ実験の実行回数が少なかった。このため、次年度使用額が生じた。次年度は、H29年度に獲得した遺伝子破壊株や突然変異株を用いたDNAマイクロアレイ実験をすすめることとしており、そのための消耗品の使用の増加が見込まれる。
|