2018 Fiscal Year Research-status Report
Security Studies on Global Issues: Climate Change, Disasters, Food Security and Infectious Diseases
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17KT0121
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
チェン ファンティン 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター法・制度研究グループ, 研究員 (50735371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大塚 健司 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 新領域研究センター環境・資源研究グループ, 研究グループ長 (20450489)
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Project Period (FY) |
2018-02-28 – 2022-03-31
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Keywords | 安全保障学 / 人間の安全保障 / リスク評価・管理 / 気候変動 / 災害 / 感染症 / 食品安全 / グローバル・イッシュー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「気候変動」、「災害」、「食品安全」、「伝染病」という四つの事例を通じ、グローバル・イシュー安全保障論の分析枠組みを構築することである。従来の視点では、脅威の主体が明確であるか、或いは脅威を受ける客体が何らかに固定化されていた。そのため、今回着目する四つの事例のように、主体が明確ではない場合の脅威すなわち「リスク」や、リスクを受ける客体が複雑に関係し合うグローバル・イシュー には対応できていなかった。また、これらの課題に対しては単一の分野における分析視点では不十分である。本研究は、従来の安全保障学的な観点に立ちながらも多分野 ・多視点な学際的分析を実施することであり、リスクの主体と客体の関連性を領域横断的に明確化することで枠組みの構築を目指す。 平成30年度(2018年度) 本年度は国内の研究チームを中心に研究会を開催し、文献サーベイを踏まえた本研究の分析枠組み・仮説の導出と研究課題の洗い出しを行った。そのため、文献と事例研究のための予備調査のほか、海外の研究協力者(中国浙江大学)を講師として招き、ヒアリング調査を実施して、その調査結果を整理・分析した。なお、研究代表者(鄭)、研究分担者(大塚)と研究協力者(雷)を中心に事例研究に向けた予備調査と比較研究に向けた問題点について、研究会の開催などを通じて議論を行いながら課題を明確にしている。 事例研究については、予備的調査を行ったうえで、国外の研究協力者とともに国外ヒアリング調査の実施も開始しようとした。その結果については研究会で共有・検討するほか、研究代表者・ 分担者・協力者が各々の所属学会で研究発表を行い、本研究に対する客観的な批判・コメントを受けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は2018年8月から育児休業から復帰して、様々な研究活動に取り組んできた。まず、メンバー内では理論的枠組みを検討するため、研究会を5回開催し、今年度及び次年度以降の詳細な研究作業工程を確定した。また、中国の浙江大学の先生を講師として迎え、人間の安全保障について聞き取り調査を行った。なお、人間の安全保障における理論的枠組みについてインタビュー調査を行い、全体の理論的視点を精緻化する作業に取り組むことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年(2019年度)は文献サーベイ及び各事例研究においては、各国政府及び国際機関・団体による政策文書や調査報告書や、学術研究成果として発表されたペーパー、専門書などを国内外の政治学、環境学、経済学などに関連する文献データベースを活用しながら、チームメンバーが分担して収集する。 2020年度においては、本研究課題に関する文献サーベイを引き続き行うとともに、各事例研究のための国外でヒアリング調査を実施する。またヒアリング調査の際には現地にて研究協力者を中心にした小規模な研究集会を持ち、最新情報の収集と関係者との意見交換を行う。 また、国内もしくは海外にて研究会を年4回程度開催し、文献サーベイ及び各事例研究のヒアリング調査に関する中間成果を共有、検討する。ヒアリング調査を通じた仮説の検証と、調査成果に基づく分析枠組みを精緻化し、研究成果の執筆に取り掛かる。さらに各年度とも研究メンバーが国内のそれぞれの所属学会で研究発表を行う。 最終年度となる2021年度は、文献分析とヒアリング調査の結果を踏まえ、分析枠組みを注意深く修正した上で、学術的、実務的な観点を提示する。この枠組みと各分野での事例研究との比較から、「グローバル・イシューの安全保障論」について総括し、研究成果を完成させる。年4回程度の研究会を開催するほか、年度後半に国外研究協力者を日本に招聘し国際ワークショップを開催して知見の統合を図るとともに、国民に広く成果を発表する。研究の最終成果は上記国際ワークショップや研究代表者・分担者・協力者が国内外の所属学会で発表をする以外、英語または日本語の論文の執筆を行い、翌年度の出版を目指す。
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Causes of Carryover |
研究代表者は平成30年度の途中から復帰したため(育児休業)、当初実施予定の活動を2019年度に変更する必要がある。2019年度には、ワークショップの開催費用(6月)、講師謝金・旅費(6月)、国内学会において分科会を企画するとその参加費用(11月)、代表者、分担者と協力者の現地調査旅費(年度中随時)、インタビュー調査後のテープ起こし費用(1月~3月)などに充てる予定である。
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Research Products
(12 results)