2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development and Application of Omics Data Integrated Association Analysis Method Using Multi-Hierarchical Tensor Factorization
Project/Area Number |
17KT0125
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
日笠 幸一郎 関西医科大学, 医学部, 教授 (10419583)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | オミックス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究期間を通して収集した複雑系疾病群の検体および比較対照群として利用するながはまコホート検体から取得したオミックスデータを用いて、多角的なオミックス解析を実施し、以下の成果を国際誌に発表した。(1)指定難病IgG4関連疾患の国際診断基準を満たす患者857例のDNAを用いて全ゲノム関連解析を行い、HLA-DRB1遺伝子とFCGR2B遺伝子に本疾患と有意な関連を見出した。HLA-DRB1タンパク質の抗原を提示するG-betaドメインの7番目のアミノ酸が発症しやすさに関連すること、さらに、FCGR2B遺伝子の変異は炎症で腫れの出る臓器の数や診断時の血中のIgG4の濃度と関連することも示された。本研究結果は、IgG4関連疾患の高リスク群の予測や診断だけでなく治療法や薬の開発に役立つことが期待される。(2)血漿中遊離アミノ酸(PFAA)を代謝障害のバイオマーカーとして利用するために、日本人1338人の血漿を用いて液体クロマトグラフ質量分析法により21種類のPFAA濃度を絶対定量し、ゲノムワイド定量的形質座(QTL)解析によってPFAA濃度と有意な関連を示す8つの遺伝子を同定した。更に条件付きQTL解析によって、PFAA代謝に主に用いられる代謝経路の存在を明らかにした。この結果は、アミノ酸の代謝を制御する遺伝的因子の生理的機能の解明に役立つと考えられる。(3)劣性遺伝疾患である低リン酸血症(HPP)の臨床症状は軽症から重症まで多岐にわたる。本疾患の重症度に関する遺伝的因子を解明するため、日本人一般集団9671人におけるALPL遺伝子変異と血清ALPおよび骨形質との関連を解析し、血清ALP活性と有意に関連する3変異を同定した。今後は、関連が示唆された代謝物やゲノム領域についての検討を進め、複雑系疾病群の病因・病態の更なる解明に役立てる方針である。
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Research Products
(6 results)