2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17KT0132
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Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
高木 智 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 免疫制御研究部長 (10242116)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2020-03-31
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Keywords | 脂肪組織 / 肥満 / 好酸球 / アレルギー / サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
脂肪細胞の肥大に伴いまずNK細胞を含む1型自然リンパ球群(group1-ILC)が活性化し、これらが産生するIFN-γが炎症性M1マクロファージの誘導など脂肪組織の慢性炎症を起こす。さらに2型自然リンパ球(ILC2)活性化とIL-5産生を抑制することで好酸球が減少しさらに脂肪炎症が進行する可能性が考えられる。NK細胞の活性化はNK受容体NCR1依存性であることが報告されている。脂肪肥大に伴い脂肪細胞上にNCR1を活性化するリガンドが発現するがその本態は依然不明である。不飽和脂肪酸であるリノール酸を多く含んだ高脂肪食と飽和脂肪酸であるステアリン酸を多く含んだ高脂肪食を給餌したマウスを比較検討した。リノール酸を多く含んだ高脂肪食を摂食させたところ、通常の餌やステアリン酸を多く含んだ高脂肪食に比較して顕著な体重増加、脂肪組織内のM1やCD8+T細胞群の増加を伴う脂肪炎症の増悪が観察された。脂肪炎症の初期変化を検討するべく摂食期間1週間のマウスを解析した。体重増加にまだ大きな差が出ていない状況にて、リノール酸を多く含んだ高脂肪食群では脂肪組織中のNK1.1+細胞(NK細胞及びILC1細胞)が有意に増加すること、NK1.1+細胞分画中で活性化の指標の一つであるCD11b+細胞の割合が増加することを見出した。NK受容体が脂質を認識する場合も知られており、不飽和脂肪酸代謝物による脂肪細胞膜タンパク質の修飾とNK細胞活性化能の関係について検討を進めている。リノール酸代謝物による細胞表面タンパク質の修飾がNK細胞活性化に関与するかどうか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでに知られていない脂肪組織内の恒常性維持機構、NK細胞の活性化分子機構と脂肪炎症の病態形成機構との関連解明を試みている。リノール酸代謝物による細胞表面タンパク質の修飾がNK細胞活性化に関与するかどうか検討中である。我々が開発したIL-5遺伝子座にVenus遺伝子を挿入したレポーターマウスを用いカロリー制限時の皮下脂肪でILC2の活性化、IL-5産生誘導を検討したが、個体によるバラツキが大きくカロリー制限による有意な活性化の検出には至っていない。ILC2やIL-5を介さない神経性の好酸球動員機構及び活性化経路の存在も考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
脂肪内の好酸球減少機構を解明:不飽和脂肪酸を主体とする餌を摂取した場合、脂肪組織内のNK細胞活性化が飽和脂肪酸主体の餌よりも顕著であるという独自の予備知見を利用し、NK細胞活性化及び増殖誘導因子の本態を探索する。活性化NK細胞等が産生するIFN-γがILC2活性化とIL-5産生を抑制することで脂肪組織内の好酸球が減少しさらに脂肪炎症が進行する可能性があり、IFN-γ受容体を欠損するIL-5レポーターマウスを用いこれを検証する。 肺組織での好酸球増加の分子機構:脂肪組織での好酸球減少と肺組織での好酸球動態の関係を明らかにする。肥満誘導時に肺組織の好酸球動態が脂肪組織での好酸球動態とどのように連動するのかを検討する。末梢血中の好酸球動態との関連を明らかにする。それぞれの組織のILC2動態や活性化状態の変化を解析する。定常状態ではILC2は各組織内で維持増幅されるとされているが、脂肪環境の変化に伴う組織間移行の可能性について検討する。
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Causes of Carryover |
検体採取の遅れと実験補助者の長期休職があり予定した実験および外部へ委託予定の検査が年度内に終了せず残余が出た。次年度へ繰り越して早々に検体を準備し実験および検査を推進する。
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Research Products
(2 results)