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2017 Fiscal Year Research-status Report

Multisensory Perceptions and Affiliative Responses in Interaction

Research Project

Project/Area Number 17KT0134
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

西阪 仰  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (80208173)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 早野 薫  日本女子大学, 文学部, 准教授 (20647143)
山田 圭一  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 准教授 (30535828)
Project Period (FY) 2017-07-18 – 2021-03-31
Keywords相互行為 / 知覚 / ヴィトゲンシュタイン / 会話分析 / 概念分析 / インストラクション(教授)
Outline of Annual Research Achievements

本年度は,主に,(1) 教授(インストラクション)場面(何らかの「教える」「習う」という活動がなされている場面)においてデータを収集し,それにもとづき,(2)「見る」という概念の分析的整理を行なった.データ収集については,習字の教授(約15例),楽器演奏の教授(1例)に加えて,家族写真撮影の場面(2例)をビデオに収録した.家族写真撮影では,写真撮影者が家族に対して,ポーズの取り方,顔の表情など,様々な指図を行なう.その意味で,それも一つの教授場面と捉えることができる.いずれの場面においても,教授者の実演や指し示す方向などを,学習者は「正しく見る」ことが要求される.研究代表者は近年の研究で次のことを観察してきた.教授者の実演を正しく見るとは,学習者の自己受容感覚(自身の身体運動・位置の感覚)のアスペクトのもとで,教授者の身体運動を見ることにほかならない.本研究においては,この独特のアスペクト知覚を,次の2つの方向に拡張する可能性が見出された.(1) 習字の教授においては,教授者のほうが,作品を学習者の自己受容感覚のアスペクトのもとで「見る」.筆を「硬く」持ってそのまま書くから,こうなる,というように.教授者は,作品を,教授という観点において「正しく見る」ことをこのようなアスペクト知覚として組織する.教授活動の相互行為的展開(教授者の評価と学習者の反応の配列)に応じて,書字の形状の評価と正しい書き方の教授をつなぐものとして,このような知覚が示される.(2) ギター演奏におけるコードの押さえ方の教授においては,学習者の学習上のトラブルに反応して,フレットと指の視覚的形状のみが切り離された形で,知覚の対象となる.楽器演奏は,本来,むしろ視覚,聴覚(音),自己受容感覚が統合された体験である.相互行為の展開に応じて,視覚のみに焦点化するアスペクト知覚が組織されるように見える.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

データ収集については,全部で,20例ほどの教授場面をビデオに収録することができた.それらの音声部分を書き起こし作業を行なっている.書き起こしは,現在,2分の1もしくは3分の2ほど完成している.また,研究代表者,研究分担者,研究協力者で小規模なデータ分析セッションを3回ほど持ち,分析的議論を重ねた.そのほか,他の研究者も招き,ヴィトゲンシュタインの「アスペクト」概念に関し議論する研究集会を(それぞれ4時間もしくは5時間ずつ)2回行なった.初回は,研究分担者である山田圭一が哲学の立場から,ヴィトゲンシュタインのテキストを詳細に読み解き,「端的に見ること」と「アスペクトを見ること」の違い,後者と「経験」との関係,絵画を見ることと「アスペクトを見ること」,「XをYとして見ること」と「XをYにおいて見ること(絵画の場合)」との関係などについて問題提起を行なった.2回目は,研究代表者の西阪が,ビデオ断片をいくつか具体的に検討しながら,相互行為研究のなかで,アスペクト知覚に関する分析課題はどのようなものでありうるかについて,問題提起を行なった.研究分担者山田圭一の大学院授業に西阪も毎週参加し,ヴィトゲンシュタインのテキストをともに読み,その理解を深めることができた.研究全般の強化のために,研究代表者のもとで会話分析研究に従事している荒野侑甫(千葉大学大学院生/日本学術振興会特別研究員)が,研究協力者として加わった.

Strategy for Future Research Activity

2018年度は,2017年度に引き続き,教授場面のビデオ撮影を継続する.また,2017年度と同様,データ分析および概念整理のための研究集会を何度か持ち,様々な知見を得ることを目指す.
2018年7月には,研究代表者である西阪は,4年に一度開催される国際会話分析学会大会(ICCA 2018,ラフバラ大学[イギリス])において,キーノートスピーカーの一人として招待を受けている.そこでは,上の「研究実績の概要」欄において述べた知見を踏まえた講演を行なう予定である.また,9月には,ヨーロッパ学習・教授学会大会(EARLI 2018,ジュネーブ[スイス])のパネルセッションで,習字の教授場面の分析にもとづく研究報告を行なう予定である(採択済み).これらの講演,研究報告をもとに,論文を執筆し投稿できるよう,研究を進めたい.

Causes of Carryover

1月以降,データ収集がやや滞り,5万円ほど次年度使用額が発生した.2018年度余裕があれば,データ収集・整理を強化するため,研究助手(RA)を雇用したい.

  • Research Products

    (4 results)

All 2018 2017

All Journal Article (3 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] Aspect-seeing in the interactional organization of activities2018

    • Author(s)
      Aug Nishizaka
    • Journal Title

      Donald Favareau (ed.), Co-Operative Engagements in Intertweined Semiosis: Essays in Honor of Chales Goodwin

      Volume: 1 Pages: 345~354

  • [Journal Article] A sentence dispersed within a turn-at-talk: Response-opportunity places as loci for interactional work2017

    • Author(s)
      Aug Nishizaka
    • Journal Title

      East Asian Pragmatics

      Volume: 2 Pages: 229~258

    • DOI

      10.1558/eap.34561

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] When (not) to claim epistemic independence: The use of ne and yone in Japanese conversation2017

    • Author(s)
      Kaoru Hayano
    • Journal Title

      East Asian Pragmatics

      Volume: 2 Pages: 163~193

    • DOI

      10.1558/eap.34740

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] ゲシュタルト的まとまりは認識論的役割を果たしうるのか2017

    • Author(s)
      山田圭一
    • Organizer
      科学基礎論学会例会

URL: 

Published: 2018-12-17  

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