2020 Fiscal Year Research-status Report
Generation of grief care by synchronous dialogue using visual narrative approach
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17KT0138
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
濱田 裕子 九州大学, 医学研究院, 准教授 (60285541)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北尾 真梨 神戸大学, 保健学研究科, 保健学研究員 (80778811) [Withdrawn]
藤田 紋佳 九州大学, 医学研究院, 助教 (10437791)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | 子どもの死 / グリーフ / ビリーブメントケア / 家族 / ビジュアル・ナラティブ / 描画法 / インタビュー / 質的研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、社会的状況の変化(covid19の影響)によって個別インタビューの追加はできず、これまで収集した16人のデータ分析を行った。対象者は子どもを亡くした母親13人、父親3人で、子どもの年齢は8か月から17歳、疾患は小児がん5人、先天性疾患8人、不慮の事故2人で、計56枚の描画データが得られた。子どもとの関係性のイメージの「過去」「現在」「未来」の変化のパターンを抽出し、検討した。特に「過去」と「現在」では、「つつむ」「見守る」、「つつまれる」「見守られる」「導かれる」など逆転の構図になり、亡くなった子どもが自分にしてくれるという主客の逆転がおこっているパターンが多かった。これらの特徴は、子どもの年齢や疾患による違いは見られなかった。悲嘆を表出した8枚の描画データは、「暗闇」「出口がない」「空洞」「枯れる」などの象徴で描かれ、ビジュアルならではの表現と伝達力、共感力が示された。 一方で遺族の悲嘆を共有する場の生成として、グリーフの会をオンラインで7月と3月の2回開催した。対面とは異なるものの閉塞された社会状況の中で開催ニーズは高く、1回目は4名、2回目は9名が参加した。2回目は、参加者の状況から一人っ子ときょうだい児有のグループに分け、全体での時間とグループでの時間を設定し、運営した。テーマは参加者の近況から、日々の生活と悲嘆感情との付き合い方など、自然と話題が展開していった。現在、これまでのグリーフの会の実践とあわせ、参加者の反応と場の生成、そこへの専門職のあり方について分析している。さらにオンラインという方法について、参加者の希望によっては、カメラをオフにしての参加や、聞くだけの参加も可能であり、孤立しやすい状況にある家族のグリーフサポートの場として、開催方法の選択肢にもなり得ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会的状況の変化(covid19の影響)によって予定していた、追加の個別インタビューができなった。また、当初予定していた対面でのグループインタビュー(グリーフの会)も開催が難しく、急遽、オンラインでの開催を検討し、その準備や検討に時間を要し、これまでの方法と異なるために分析にも時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
個別データについて2名追加し、これまでのデータとあわせて分析し、論文として投稿する。また、描画データの分析とともに、ビジュアル・ナラティブがグリーフケアの場にもなっているため、研究者がどのように関係性をつくっているのか、絵を共同生成しているのかの視点でも分析を行っていく。さらにこれまでのグリーフの会(グループインタビュー)の分析を行い、誌上発表を行う。
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Causes of Carryover |
社会状況等により研究が遅延したため、補足する描画インタビューの実施にともなう費用、および成果発表のための学会参加費、論文の英文校正に使用する計画である。
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