2019 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on motion control function of rallying call and onomatopoeia in care interaction
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17KT0140
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細馬 宏通 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90275181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 和子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313304)
田中 秀幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70231412)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2021-03-31
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Keywords | マルチモーダル分析 / ELAN / 相互行為 / オノマトペ / 身体動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者細馬は、当初の計画案に沿って、すでに収録済みの介護施設における音声・映像データの整備とマルチモーダル分析を進めるとともに、様々な日常相互行為場面との接合可能性を検討した。データ整備については研究代表者細馬が中心となり、城綾実を研究協力者として雇用して着実に進めており、最終年度となる次年度に完成される予定である。また、掛け声を用いた共同作業実験の分析をPythonにより自動化するため、小島大樹と協力し、動作データをグラフ化する作業を行っている。さらに、計画中の「運動学的に体に負担のかからない動作を伴う、発声・動作の協調作用モデル」を立てるべく、認知症高齢者の「動き出し」に注目して介護方法を開発している大堀具視の実践を撮影し、高齢者の初動と介護者の発声の関係を分析している。また、分野横断的分析については、広くマルチモーダル分析研究に役立つ分析の基礎から応用までを記した「ELAN入門」を編集・執筆した。 一方、分担者篠原、田中は、主に音象徴の観点から、言語音と身体の動きのイメージとの関連について、実験的手法で研究を進め、身体動作の力感についての感覚的イメージがどのように言語音と結びつくかを調べて成果を得、論文発表を行なった。そのほか、咀嚼運動を含む食物の「硬さ」について、言語音の喚起するイメージを抽出することを目的とし、オンライン実験サイトを構築することで日本語だけでなく他の言語との比較も視野に入れた実験の設計とデータ収集を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の中心的課題のうち、2018年度までに採取したデータのコーディングに関しては、ほぼ終了している。分野別分析に関しても、これまでの介護現場以外のデータを加えて新たな分析を進めている。分野横断的分析については、「ELAN入門」に、行動学的分析のみならず、応用行動分析、映像分析などさまざまな分野横断的分析の手法について代表者自らが執筆した。発声・動作の協調作用モデルに関しては、国際語用論学会において掛け声のモーラ単位の繰り返しが運動の時間的枠組みの予測と調整に預かる「運動調整仮説」を発表した。介護現場へのフィードバックとして、「介護の学校 in 埼玉」(2019.11.2於:文京学院大学)においてレクチャーを行った。また、介護施設でのフィードバックとディスカッションを年度末に行う予定だったが、新型コロナ禍の影響で次年度に延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
【分析について】データ分析の最終段階として、多様な掛け声・オノマトペに随伴する動作のコレクションを分析し、「運動調整仮説」をより精緻なものにする。とくに「せーの」「よいしょ」に関しては、動作に伴う力の時間分布が事例によって異なることがわかっている。相互行為においてこれらの時間分布がどのような過程によって参加者の間に共有されるのか、そして動作が実行に移されるとき、微細な力の変動はどのように調節されるのかについて検討する。今年度は各種の学会が延期もしくは中止となっているが、新コロナ禍収束後に学会発表を計画している。 【分野横断分析】掛け声・オノマトペの音韻構造と動作の時間構造との関係について、分担者とともにさらに討議を行い、一般的なモデルを構築する。 【相互行為における動作の簡易マニュアル作成】研究者だけでなく、介護現場で働く人や一般の人にも理解可能な相互行為動作の解説書を現在執筆中で、「からだは気づいている」(webちくま)において公開予定である。 【介護施設へのフィードバック】昨年度行うことができなかった介護施設へのフィードバックを新コロナ禍収束時に行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度使用額に関しては、2019年度末から世界的に発生した新型コロナ禍により、年度末に予定されていた学会参加ならびに研究会合参加のための出張が延期ないしは中止され、旅費・参加費とし予算を次年度に繰越す形となった。また、高齢者介護施設でのフィードバックも当分延期となった。したがって、2020年度に未実施分の出張旅費およびデータ整備に関わる謝金として使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Book] ELAN入門2019
Author(s)
細馬 宏通、菊地 浩平
Total Pages
288
Publisher
ひつじ書房
ISBN
978-4894767652