2020 Fiscal Year Research-status Report
Empirical research on motion control function of rallying call and onomatopoeia in care interaction
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17KT0140
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
細馬 宏通 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90275181)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 和子 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00313304)
田中 秀幸 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70231412)
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Project Period (FY) |
2017-07-18 – 2022-03-31
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Keywords | オノマトペ / 音象徴 / 音声 / 身体動作 / 介護 / ケア |
Outline of Annual Research Achievements |
代表者は、前年度に引き続き、介護施設で収録済みの音声・映像データについて分析を進めた。一方で、2020年の重要な現象であるコロナ禍におけるコミュニケーションを音声とケアの動作に関する問題と接続すべく、オンライン会議における親の子供のケアの包摂について、ニュース映像に子供が割り込む事例を検討した上で、音声と動作の相互行為的観点から論じた。対象を指示語で指しながら、その属性を身体動作によって同期させる現象は、対象の属性を声によって表現するオノマトペと並行する重要な現象だが、この問題については、「再現行為とコ系指示語の「いま」性」において論じた。 また、田中みゆきとの共同研究で、視覚障害者のゲーム体験において「音響キュー」と呼ばれる音の手がかりによってプレイヤーがどのようにゲーム空間を把握し、音と自身の動作とを組み合わせていくかを分析した。声と身体を複数の参加者で交わす問題をポピュラー音楽において展開すべく、著書「うたのしくみ」で論じた。 一方、分担者篠原、田中は、川原繁人とともに、子音と運動特性の関係について実験を行い、運動の加速度性の有無と子音の種類(阻害音と共鳴音)との間に関係があることを明らかにした。また篠原は、ディズニーやポケモンで用いられるキャラクターの名前と音象徴の関係について、悪役キャラクターの名前では、一般的にネガティブなイメージを与える有声閉経音が好まれ、可愛らしさを象徴する両唇子音が好まれないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度はコロナ禍によって高齢者施設の訪問がほぼ不可能となり、データの追加収集や施設へのフィードバックは進まなかった。また学会発表もオンライン開催の限られたものを除き、当初の目標よりも少なくなった。一方で、既存の介護場面におけるデータ整理だけでなく、コロナ禍におけるオンライン・コミュニケーションを含めたさまざまな場面における身体的な音声コミュニケーションについて考察を進めることができ、本プロジェクトの目標課題である音声の音韻的特徴と身体動作との相互作用を、より広範な問題として論じることができた。特にZOOMなどの新たなコミュニケーション・ツールについて、モニタ内の限られた身体動作をもとに、どのような音声のやりとりが行われ、子供の闖入のような予期せぬ出来事を大人がどのように包摂するかを論じることができたのは、本研究で行ってきた音声による運動調整研究のおかげであり、予想外の収穫であった。また、分担者により、オノマトペの基礎となる音象徴と運動との関係が実験的に明らかになりつつあり、実証研究の面でも進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の後半期にコロナ禍の状況が改善することを見越して、この時期に、高齢者施設への訪問やフィードバック、分析に必要な追加データの札邸を一気に行う。また、最終年度の課題であった介護行動におけるオノマトペに関して論文執筆と発表を行う。高齢者施設では、コロナ禍において次第にオンライン・コミュニケーションが導入されつつあるが、こうした新しいツールにおいては、音声と動作の時間的遅延が生じるため、対面相互行為とは異なるさまざまな問題が生じつつある。今回のプロジェクトをさらに発展させるために、こうしたオンライン介護の問題についても観察と分析を行う予定である。 また、代表者の行ってきた質的な研究と分担者の行ってきた量的な研究を統合し、オノマトペと介護の問題を、より広範な音声と身体の相互作用、相互行為の問題として考察すべく年度末にワークショップ、シンポジウムを行う。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] What’s in a villain’s name?: Sound symbolic values of voiced obstruents and bilabial consonants.2020
Author(s)
Uno, R., Shinohara, K., Hosokawa, Y., Atsumi, N., Kumagai, G., & Kawahara, S.
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Journal Title
Review of Cognitive Linguistics. Published under the auspices of the Spanish Cognitive Linguistics Association
Volume: 18
Pages: 428-457
Peer Reviewed
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