2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18002010
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
杉立 徹 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (80144806)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志垣 賢太 広島大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (70354743)
本間 謙輔 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教 (40304399)
三明 康郎 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (10157422)
浜垣 秀樹 東京大学, 大学院・理学系研究科, 准教授 (90114610)
稲葉 基 筑波技術大学, 産業技術学部, 准教授 (80352566)
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Keywords | クォーク物質 / フォトン物理 / ALICE実験 / クオークグルーオンプラズマ / PHOS検出器 / LHC加速器 / 高エネルギー重イオン衝突 / 極初期宇宙 |
Research Abstract |
欧州CERN研究所LHC加速器にて高エネルギー原子核衝突ALICE実験を実施する。本課題は、同実験装置に組み込む高分解能光子検出器PHOSの建設及びそれを使ったフォトン物理を推進する。前年度までに建設してきたPHOSモジュールの実験装置への組み込み、及び初めてのビーム衝突実験に取り組み、以下の成果を達成した。 1. 前年度の長期地上試験で発覚したPHOS第1モジュール筐体の気密断熱構造に関する不具合を根本的に解決する新たな完全気密筐体の設計を完了し、機械工場で製作を開始した。日本側は気密フランジの設計製作を引き受け、国内にて機械部品を製作、CERN研究所にて組み立てた。 2. LHC加速器による初めての陽子+陽子衝突実験に向け、第2モジュールの地上最終試験を継続し、5月、ALICE実験装置への組み込みを行った。以後、LED信号及び宇宙線による読み出し改良試験を継続しながらLHC加速器始動を待機した。 3. 国内では、広島大学に置くPHOS検出器試験装置をPHOS運用環境の零下25度で運用し、システム及び研究者の習熟を図った。また、ALICE実験地域解析拠点となる広島大WLCG-Tier-2センターに大型ファイルサーバを導入し、大容量のデータ解析に向けた準備を進めた。 4. LHC加速器は9月10日に加速器リングへの陽子ビーム入射を成功させた。ALICE実験装置にてビーム事象を観測した。同月19日、加速器に障害が発生し、復旧のため長期停止が宣言された。 5. 故障宣言を受け、2008年秋に計画していた陽子衝突データ収集及び解析にかかる研究計画を翌年度へ繰り越した。2009年11月23日、LHC加速器による初めての陽子+陽子衝突事象を検出した。大学院生4名の協力を得てPHOS事象の解析を行い、明確な中性パイ中間子の同定に成功した。
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Research Products
(4 results)