2007 Fiscal Year Annual Research Report
高次環境調和型反応の開発-反応空間と触媒機能の同調的相乗化-
Project/Area Number |
18002011
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香月 勗 Kyushu University, 大学院・理学研究院, 教授 (40037271)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
酒井 健 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (30235105)
内田 竜也 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (50380564)
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Keywords | 還境調和 / 過酸化水素水 / 分子状酸素 / 光活性化 / エポキシ化 / 光分子デバイス / 水素生成触媒 |
Research Abstract |
本研究では、環境調和型物質変換法の開発に向け、酸素(空気)、過酸化水素、ならびにアジド化合物を利用する新たな不斉官能基導入法の開拓を行っている。本年度は、1)酸素による触媒の活性化、2)水溶媒中での触媒的不斉酸化の開発、3)サレン錯体の触媒活性とアピカル置換基の相関関係の解明と不斉シクロプロパン化の開発、を主な対象として研究を行い以下の知見を得ることができた。 1)無保護のシアノヒドリンを直接与えるトランスシアノ化を、酸素雰囲気下で活性化されたバナジウム-サラレン触媒を用いて高エナンチオ選択的に達成することができた。反応はほぼ中性条件下で進行し、塩基の添加を必要としない。酸素活性化法の有効性を示すことができた。 2)水溶媒中でも安定であり、基質との親和性が高い錯体の設計を指針として検討を行い、鉄-サラン錯体を創製して、界面活性剤の添加を必要としない過酸化水素水を用いる高エナンチオ選択的不斉スルポ酸化を達成した。同様に、有機溶媒の使用の抑制を目的として、無溶媒あるいは高基質濃度下での不斉酸化の検討を行い、アルミニウム-サラレン錯体を用いて高選択的不斉スルポ酸化を達成することができた。この条件下での触媒回転数は4万回以上に達した。なお、この研究で得られたアルミニウム-サレン錯体の触媒機能に関する知見を下に、これまで高選択的な不斉触媒化が困難であったアリルアルコールの触媒的Simons-Smith反応で高エナンチオ選択性を達成することができた。 3)アピカル位にトルイル置換基をもつイリジウム-サレン錯体を触媒に用いるシクロプロパン化の反応条件を詳細に検討し、非共役オレフィンのシクロプロパン化で初めて高シス、高エナンチオ選択性を達成することができた。この結果は、報告に向け現在取り纏め中である。 前年度に続き検討中の光照射を必要としないアルコールの酸素酸化でも進展が得られ、成果の一部を日本化学会第88年会で報告した。
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Research Products
(89 results)