2008 Fiscal Year Annual Research Report
キネシンモーター分子群による細胞内物質輸送の分子機構 : 構造、機能、動態及び制御
Project/Area Number |
18002013
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣川 信隆 The University of Tokyo, 大学院・医学系研究科, 教授 (20010085)
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Keywords | キネシン / 微小管 / モーター蛋白 / 細胞内輸送 |
Research Abstract |
1)モーター分子によるカーゴの認識・結合及と制御機構 (a)燐酸化によるカーゴの結合の制御機構 : KIF17は足場蛋白Mint1を介して、グルタミン酸受容体を認識しこれを神経樹状突起で輸送する。FRETを使って、KIF17の尾部とカーゴの結合の制御機構を解析した。KIF17尾部にCaMKIIが結合し、活性化されるとKIF17尾部Ser1029がリン酸化されカーゴのMint1が、KIF17より脱離し、シナップス後部へ受容体が組み込まれることが分かった。(Guillaud et.al. NatuFe Cell Biol 10 : 19-29, 2008) (b)G蛋白質によるカーゴ結合の制御機構 : KIF1A/VKlFIB betaは相同性の高いstalkと尾部を有しており、Rab3Aを含むシナップス小胞前駆体を神経軸索で順行性に輸送し、神経の機能と生存に必須である。KIF1A/KIF1B betaのstalkがDENN/MADDに結合し、それがRab3Aに結合する事が分かった。GTP-Rab3Aは、DENN/MADDと結合し、KIF1A/KIF1B betaと結合できシナップス小胞前駆体をシナップスまで運んでいる。GTP加水分解によりGDP-Rab3Aは、DENN/MADDと脱離してカーゴを脱着する事が分かった。(Niwa et.al, Nature Cell Biol 10 : 1269-1279, 2008)これらは重要な発見であるので前者. はNature Cell BiologyのNews and Viewsで、後者はCell 135 : 373-374, 2008" Leading Edge, Neurobiology Select" で紹介された。 2)モーター分子の作動機構の構造生物学的解析 ATP加水分解の律速段階であるMg^<++>ADPからADP状態にいたる課程の構造をKIF1Aのモーター領域についてX線結晶解析により初めて解いた。(Nitta et.al. Nature Struct Mol Biol 15 : 1067-1075、2008)ADPはMg及びその配意水の密な水素結合ネットワーク(Mg-water cap)に覆われ、ATPポケット内にトラップされ、さらにSwitch I, Switch IIを介してL7に結合し安定化されていた。L7の先端部は微小管センサーとして働きbeta tubulinのH4 helixを認識すると静電的引力により引かれる。するとL7とADPの周りの結合が外れ、Mg-water capが外れ、ADPが出て行く。ATP加水分解の重要なステップである微小管による化学的チェックポイント解除の原子レベルの機構が明らかとなった。
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Research Products
(29 results)