2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18002016
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岡村 均 京都大学, 薬学研究科, 教授 (60158813)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 賀章 京都大学, 薬学研究科, 助教 (30467427)
松尾 雅博 京都大学, 薬学研究科, 助教 (70456838)
|
Keywords | 神経科学 / 発現制御 / 生理学 / 脳科学 / 遺伝子 |
Research Abstract |
生体時計の中枢である視交叉上核は行動の24時間リズムを決定する唯一の神経核である。従って、行動リズム異常を解決するには、その大本である視交叉上核の機能物質の解明を避けることができない。そのため、すでに我々は、in situ hybridizationを用いた網羅的発現解析を行い、片端からノックアウトマウスを作成するSCN-Gene Projectを開始している。その成果の一つが、視交叉上核に大量に発現するGTPase活性化因子GTPase-activating protein(GAP)の一つであるRGS16である。RGS16は脳内では視交叉上核に特異的に発現し、しかもその発現は時刻依存性で、強く時計にコントロールされている。すなわちRGS16は、mRNAのみならず蛋白質も、生体時計中枢にのみ午前中にのみ発現する。今回、RGS16ノックアウトマウス(RGS16-/-)マウスを作製したところ、行動リズムは野生型と比較して恒常暗(DD)でリズムが著明に延長していた(Nature Communications,2:327,2011)。しかも、視交叉上核におけるcAMPからCREB/CRE系を介する遺伝子発現の細胞内シグナル伝達系の24時間リズムは消失していた。今回我々は、RGS16は夜明けとともにSCN背内側のニューロンに発現し、adenylate cyclaseを活性化しcAMPの量を上げ、PerlのCREに結合し発現を上げ、時計を前進させ周期を短縮する新機構を明らかにした。このRGSをターゲットとした新しいリズム治療法の開発が期待される。
|