2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18011006
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
児嶋 長次郎 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教授 (50333563)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三島 正規 首都大学, 東京・理工学研究科, 准教授 (70346310)
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Keywords | 構造生物学 / NMR / シグナル伝達 / タンパク質 / 分子認識 |
Research Abstract |
動物細胞由来のNa^+/H^+交換輸送体NHE1はあらゆる組織に普遍的に存在し、Na^+濃度勾配をエネルギーとしてH^+を排出することで細胞内pHなどの調節を行う。増殖因子や発ガン因子による刺激は最終的にNHE1を活性化して細胞をアルカリ化させる。この活性化にはNHE1のC末端細胞質ドメインにカルシニューリンB類似蛋白質CHPが結合することが必須である。CHPには2つのアイソフォームCHP1/2が知られており、CHP1が普遍的に発現しているのに対し、CHP2はガン細胞特異的に発現しNHE1を恒常的に活性化している。そこで本研究では、ヒト由来CHP2とNHE1のC末端細胞質ドメインとの複合体の立体構造をNMRによって決定し、すでに立体構造決定に成功しているCHP1-NHE1複合体との立体構造比較を行うことで、ガン細胞特異的なNHE1活性化機構の解明を目指すこととした。 平成18年度はCHP2-NHE1複合体の立体構造をNMRで決定する予定であったが、平成18年度の初めにCHP2-NHE1複合体の結晶構造が研究協力者の若林博士らのグループによって決定されたため、当初の計画を変更し、NMR構造ではなく結晶構造を詳細に解析した。NMRで決定したCHP1-NHE1複合体構造では相互作用部位がCHP1のCドメインのみであったが、CHP2-NHE1複合体では相互作用部位がCAN-CNBと同じくCHP2のNドメインからCドメインに及んでいた。この相互作用面の広さはCHP2がCHP1よりNHE1との結合が強いという実験事実と一致している。またCHP1-NHE1複合体とCHP2-NHE1複合体のpH滴定実験からpH感受性においてCHP2-NHE1複合体がアルカリ側にシフトしていることを発見した。
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